現時点ではオンラインサービスとクルマの親和性は低い
そこで「販売店を見ていただき、スタッフとコミュニケーションを図ること」を重視している。捺印などを廃止すれば、オンラインによるクルマの売買は技術的には可能だが、安全を徹底させるには顧客と販売店の相互理解は欠かせない。
また今の制度では、ユーザーが販売店に出向かなくても、担当者とどこかで直接面会した方が都合の良いことも多い。たとえば車庫証明(自動車保管場所証明書)は、カーリースでも必要だ。「Honda ON」では郵送などを利用するが、少々面倒なところもある。
結局のところ、書類を廃止するシステムを新たに構築しないと、オンラインは便利にはならない。仮にそれを実現しても、安全確保のためには、所有している段階では販売店へ出かける必要も生じる。
つまり現時点では、オンラインサービスとクルマの親和性は低い。それでもメーカーや販売店としては、オンラインを用意しておく必要はある。昼間が多忙な人は、夜間に作業できるオンラインが便利だ。今は昔と違ってパソコンやスマートフォンのメール機能などを使えるから、ある程度までオンラインで進められるのが当然といえるだろう。
とくに若いユーザーは、さまざまな商品を通信販売で購入する。ネット上にないものは、世の中に存在しないのと同じだ。最終的には販売店に出かけるとしても、アプローチから途中までの段階では、オンラインで行う方法も用意しておく必要がある。オンラインが急速に普及を開始した時に、乗り遅れては困るからだ。