「オンラインストア」といいつつ「オンライン」では完結できない! ホンダがスタートした「Honda ON」の新しさと難しさ (2/2ページ)

現時点ではオンラインサービスとクルマの親和性は低い

 そこで「販売店を見ていただき、スタッフとコミュニケーションを図ること」を重視している。捺印などを廃止すれば、オンラインによるクルマの売買は技術的には可能だが、安全を徹底させるには顧客と販売店の相互理解は欠かせない。

 また今の制度では、ユーザーが販売店に出向かなくても、担当者とどこかで直接面会した方が都合の良いことも多い。たとえば車庫証明(自動車保管場所証明書)は、カーリースでも必要だ。「Honda ON」では郵送などを利用するが、少々面倒なところもある。

 結局のところ、書類を廃止するシステムを新たに構築しないと、オンラインは便利にはならない。仮にそれを実現しても、安全確保のためには、所有している段階では販売店へ出かける必要も生じる。

 つまり現時点では、オンラインサービスとクルマの親和性は低い。それでもメーカーや販売店としては、オンラインを用意しておく必要はある。昼間が多忙な人は、夜間に作業できるオンラインが便利だ。今は昔と違ってパソコンやスマートフォンのメール機能などを使えるから、ある程度までオンラインで進められるのが当然といえるだろう。

 とくに若いユーザーは、さまざまな商品を通信販売で購入する。ネット上にないものは、世の中に存在しないのと同じだ。最終的には販売店に出かけるとしても、アプローチから途中までの段階では、オンラインで行う方法も用意しておく必要がある。オンラインが急速に普及を開始した時に、乗り遅れては困るからだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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