理想の目標を明確にすることですべきことが見えてくる
共同利用は、約13億台といわれる世界のクルマの保有台数を半減以下にすることにつながる。それによって生産台数を減らし、環境負荷を軽くするだけでなく、9割が駐車場で止まっている時間とされるクルマの稼働率を高め、個人の都合による人々の移動の利便性は持続可能になる。駐車場代や、燃料代、そして税金や保険代の負担なく、クルマを利用できることでもある。
EVは、単に排出ガスゼロというだけでなく、電力系統との連携により、停電の不安をやわらげ、電力需要の安定化を促進することにより、発電所の数を減らしたり、再生可能エネルギーによる発電をより安定的な電力供給につなげたりするなど、暮らしと電力の関係を安定させ、安心して日々過ごせることに結び付く。EVとなることで、電気主体となった現在の暮らしを安心させ、未来への意欲をもたらすのである。
以上のことをサービスとして運用するのが、MaaSだ。モビリティ・アズ・ア・サービスのことで、クルマが単なる移動手段であるだけでなく、暮らしの経費を節約し、合理的にすることで、余暇も楽しむなどのゆとりをもたらし、それでいてクルマの有用性を実感できる社会づくりの仕組みである。
これらを実現するため、5Gと呼ばれる通信の進化や、イメージセンサーと呼ばれる小型高性能カメラを含めたセンサー技術、リチウムイオンバッテリーの原価低減など、技術革新が求められる。
個々の要素や技術をよりよくするだけでなく、世界で80億人に迫る世界の人々が、21世紀の社会でいかに快適に生きられるかを左右する構想だ。理想の目標を具体的、明確に掲げ、お題目だけで意味をなさなくなってしまわないようにしなければならない。