走りの安定感が抜群なだけにターボが欲しくなる!
ドライブフィールはとにかく走行安定性に優れ、乗り心地も良い。それに安心感を伴う広々とした視界のよさも特筆ポイントに加えたい。フロントシートは着座位置のデフォルト高がワゴンRより7cm高いそうで、それが見事に活かされていた。ラウンドしたインパネの稜線とその向こうに広がるフロントウインドウのパノラマ感=視界の良さ、さらにフロント両サイドのカクっと曲がったガラス面がボンネット幅=車幅を示す目印にもなり、一層、車両感覚もつかみやすい。機能性とデザイン性の融合ぶりも頼もしい。最小回転半径4.4mのスマイルの扱いやすさは視界の良さも含め申し分ない。
動力は657ccのエンジン+モーターをCVT(無段変速機)を走らせるマイルドハイブリッドと、同じエンジンのみを搭載するモデルとがある。今回はハイブリッドXを試乗。マイルドハイブリッドは加速時にモーターがアシストし、減速時には発電効率を高めるISG(モーター機能付き発電機)と専用のリチウムイオンバッテリーが搭載されている。平坦な路面であればスムースな走行が終始可能なのだが、唯一、あえて気になったところを申すなら、今回の街中から郊外を走るルートではもう少し力強さが欲しい場面もあったのが正直な感想だ。スライドドアによる重量増もあり、クルマの仕上がりのよさや佇まいからより走りの万能さを求めたくなった。
スズキにとってスライドの採用はスペーシア、エブリーワゴンに続く3モデル目となる。ファミリーユーザーにこだわるスペーシアとの全高の違い(サイズや室内空間)だけでなく、ワゴンRファミリーとしてもスマイルのハイブリッドSの2WDモデルで147万2900円~(スタート価格は129万6000円だがスライドドアなどはメーカーオプション)という価格設定にはこだわったという。
走行性能の優位性は前述でお伝えしたとおり、ボディは補強材の追加でコストや重量を増やすのではなく2年前に登場したハスラーから採用を始めた構造接着剤をスマイルにも採り入れ強化。また室内の柔らかな印象を与えているルーフ内側の丸みはじつはこもり音や振動を抑える構造面での工夫でもあるそうで、その効果も実感できるはず。スペーシアに対し軽量である分、燃費面での経済性も有利。
ただ一方で、4ドアのワゴンRに対しスマイルはスライドドアを採用することで重量が80-100kg増す分、経済性(燃費)や走行フィールでのデメリットは大なり小なり、あるだろう。でもスマイルのデザイン性や質感へのこだわりは機能的なスペーシアとも4ドアタイプのワゴンRと比べても好みが合えば満足度はかなり高いと感じられるのではないか。でもでも日常の通勤や通学、お買い物などパーソナルユースをメインで選ぶ方たちにとっては4ドアのワゴンRを選ぶメリットもある。うーん、悩ましい!?
ちなみにスマイルは自動ブレーキなど毎日の安心安全な予防安全技術は標準装備としつつ、ACCや標識認識、ヘッドアップディスプレイ、オーディオ関連はオプションでユーザーが必要なものを選ぶようになっている。
スマイルの登場でスズキのいや軽自動車そのもののなかで選択肢が増えたことは間違いない。世の中の5割が軽自動車でスライドドアを求めるという今、スズキではこのスマイルを登場させてみて改めてスライドドアのニーズを探ろうという向きもある。あなたならどんなところにこだわって選びますか?