WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

ミニバンとは? 他にはないミニバンの良さや最新人気車種をご紹介! (2/2ページ)

ミニバンとは? 他にはないミニバンの良さや最新人気車種をご紹介!

この記事をまとめると

■ミニバンとはアメリカから入ってきた言葉

■日本ではミニバンという言葉が使われる以前から同ジャンルのクルマが存在した

■ミニバンとは何か? といまの日本のミニバン市場について解説する


日本のミニバンの歴史は1980年代からスタート

 日本の乗用車市場においてミニバンは重要なポジションを占めている。他ジャンルを選ぶ人もいるが、とくに子育て中のファミリー層にとってはいの一番に選択肢に上がるのがミニバンといっても過言ではないだろう。今回はミニバンの歴史から現在の人気車種までを振り返ってみたいと思う。

■ミニバンとは

 ミニバンという名前を聞くと「小さい」を意味する「MINI(ミニ)」と商用車を意味する「VAN(バン)」を繋げた単語のように思う人も多いだろう。だがよくよく考えると、たとえばプロボックスや軽自動車のアルトバンなどに比べてもほとんどのミニバンは小さくないどころかむしろ大きい。ましてやミニバンは商用車でもないので、不思議に思うだろう。

 じつはミニバンのバンは、キャラバンを短縮したもので、アメリカ文化からきた言葉なのだ。アメリカでのキャラバンはキャンピングトレーラーを指し、日本の基準でいえば巨大な、フルサイズワンボックスやフルサイズSUVなどの自家用車でキャンピングトレーラーをけん引していた。サイズは全長5m、全幅2mなどの日本では走らせるのに難儀するほどのサイズのクルマたちだ。

 その後アメリカで、ひとまわり小さいダッジ・キャラバン、日本でも一時期流行したシボレー・アストロなどが登場して人気に。これがフルサイズに比べれば小さいということでミニバンというジャンルになったのだ。

 このアストロは日本にしてみれば大きなクルマであったが、アメリカでの呼び名であるミニバンが定着。日本における似たようなジャンルのクルマがミニバンと呼ばれるようになった。

 現在の日本におけるミニバンは、正確な定義こそないものの、基本は6人以上が乗車できる2BOX(居住スペースとラゲッジスペースが1空間)のクルマを指すといって問題はないだろう。それこそ一見矛盾するようだが、LLサイズミニバンやSサイズミニバンなどといういい方もされている。

■ミニバンの歴史

 上に述べた6人以上が乗れる2BOXカーがミニバンであると考えると、じつはミニバンという名前が日本に入ってくる前の80年代に、日本ではミニバンがスタートしていたといえる。

 そもそも前述したダッジ・キャラバンが1983年、シボレー・アストロが1985年にアメリカで登場し、アストロが日本で流行したのは1990年代である。

 日本では、1982年に日産がプレーリーを発売。このクルマは2BOXボディに3列シートの8人乗り仕様が用意され、リヤドアにはスライドが採用されていたので、現在のミニバンの要件を完全に満たしたクルマといっていいだろう。なお、プレーリーに対して日産では当時セダンという言葉を用いていた。このあたりからも、ミニバンという言葉が基本的にはまだ日本で使用されていなかったことがわかる。

 さらにプレーリー発売の翌年、三菱からシャリオが登場する。このシャリオは6人乗りと7人乗り仕様が存在する3列シート車で、プレーリーとは異なりドアにはスイング方式(ヒンジ方式)を用いている。これも間違いなくいまであればミニバンだが、三菱ではセダンとキャブオーバーワゴンそれぞれの長所を採り入れた多目的乗用車といった表現が使われていた。

 その後1988年にはマツダからMPVが登場、1990年代にはミニバンが一大ブームを巻き起こす。ただしブームといっても一過性のものではなく、現在に至るまでミニバンは一定の人気を誇っているのだ。

 1990年代にブームを支えたクルマたちを何台か紹介しよう。

 まずは1990年に登場したトヨタ・エスティマである。天才タマゴというキャッチフレーズを使った、丸味を帯びたボディ形状が話題となった7人乗り(発売当初)のスライドドア車だ。特徴はスラントミッドシップと呼ばれるエンジンを傾斜して車体下に積んだレイアウト。残念ながら販売的にはけっして成功とはいえないモデルであったが、エスティマは2代目モデルが大ヒットしている。

 続いては1994年に発売されたホンダ・オデッセイだ。低全高のスイングドアミニバンで、乗車定員は6人と7人仕様を用意。ホンダらしく走りのいいモデルとして大ヒットを果たした。

 ホンダからは1996年にステップワゴンが誕生している。現在でいうところのMクラスミニバンで、室内スペースを有効に活用するような四角いボディ形状が特徴。ファミリー層に刺さり、人気モデルとなった。3列シートの8人乗りが中心であったが、2列シート仕様もラインアップされている。

 1997年には、日産エルグランドが登場した。いわゆるLクラスミニバンと呼ばれるジャンルで、電動スライドドアや電子制御サスが選べるなど、高級ミニバンのパイオニアともいえる存在だ。現在人気のアルファードが誕生するきっかけともいえる車種である。

 ミニバン人気は2000年代に入っても衰えるどころかむしろ加速した印象が強い。2001年にはMクラスミニバンとしていまでも人気の高いノア・ヴォクシー、2002年にアルファードがそれぞれトヨタから登場している。

 さらにSクラスミニバンと呼ばれるジャンルも活性化した。これはいわゆるコンパクトカーサイズでスペース効率を追求して3列シート化したもので、2001年にホンダがモビリオを出すと、2003年にトヨタからシエンタ、日産からキューブキュービックが誕生してしのぎを削った。

 また、ロールーフで走りに優れたスイングドアのミニバンも、ホンダが2000年にストリームを登場させると、2003年にはトヨタがウィッシュを誕生させ、一定の人気を博した。

 本記事の冒頭に記したとおり、こと子育て中のファミリー層にとっては、たとえ4人家族などであっても大は小を兼ねる的に3列シートのミニバンを選ぶケースはいまでも多い。だがここ数年、ブームと呼ばれるほどSUVの人気が高まっていることも事実だ。SUVには、トヨタ・ランドクルーザーやホンダCR-V、日産Xトレイル、マツダCX-8のように3列シートをもつグレードを展開するものもあるが、多くは2列シート車であり、3列シート車でも3列目はエマージェンシーとして考えるような広さのクルマが多い。つまりミニバンの代替車としてではないのだが、悪路走破を想起させる力強い雰囲気や、ミニバンのように生活感を感じさせないスタイリング、高いアイポイントによる運転のしやすさなどでファミリー層にも人気となっている。

 日本自動車販売協会連合会の登録車数データで上位20位以内に入っているミニバンとSUVの車種名をみてみよう。

2017年4〜9月

4位:トヨタC-HR(SUV)
5位:ホンダ・フリード(ミニバン)
8位:トヨタ・シエンタ(ミニバン)
9位:トヨタ・ヴォクシー(ミニバン)
10位:日産セレナ(ミニバン)
15位:ホンダ・ヴェゼル(SUV)
16位:トヨタ・ノア(ミニバン)
18位:トヨタ・ハリアー(SUV)
20位:日産エクストレイル(SUV)

  

2021年4〜9月

4位:トヨタ・アルファード(ミニバン)
6位:トヨタ・ライズ(SUV)
8位:トヨタ・ハリアー(SUV)
9位:ホンダ・フリード(ミニバン)
10位:トヨタ・ヴォクシー(ミニバン)
11位:ホンダ・ヴェゼル(SUV)
12位:日産セレナ(ミニバン)
13位:トヨタRAV4(SUV)
14位:トヨタ・シエンタ(ミニバン)
17位:トヨタ・ノア(ミニバン)
19位:ホンダ・ステップワゴン(ミニバン)
20位:トヨタ・ランドクルーザー(SUV)

 当然モデルチェンジのタイミングによって販売台数は大きく左右されるため、あくまで参考となるが、上記をみればSUVに勢いがあることは読み取れるものの、けっしてミニバン人気が衰えたわけではないことがわかるだろう。

 むしろ、他ジャンルのクルマが、ミニバンやSUVにとって代わられたと考えるのが自然である。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了