ミニバンとは? 他にはないミニバンの良さや最新人気車種をご紹介! (2/2ページ)

替えの効かないミニバンだけの魅力がある

■ミニバンの良さとは?

①なんといっても車内空間の広さ

 ミニバンのミニバンたるゆえんは、基本的には車内が広いことであろう。前述したとおり、Sクラスミニバンと呼ばれるものから、LLクラスミニバンまで、多彩車車種が揃っている日本市場ゆえ、絶対的な広さはクルマのクラスによってまったく異なる。しかしたとえばSクラスミニバンでいえば、同クラスの2列シートをもつコンパクトカーに比べて室内の開放感がある。

 これは背が高く、低床フロアを採用するクルマが多いためで、空間としては縦方向に広く、またそれに合わせてシート形状等を工夫し、足を前に投げ出すのではなく下に降ろすように座るものが多く、乗員が広さを観じることができる。

 当然、全長と全幅が同じようなクルマであれば、車内として捉えられるフロア面積は同じようなものとなる。だがミニバンは、左右及び後ろ側のボディが垂直気味に立っているモデルが多く、前後左右からクルマを眺めたときに、台形気味の他モデルに比べると三次元の空間が有効に使えるのだ。

 ラゲッジスペースはどうだろうか? こちらも広いモデルが多い。注意が必要なのは、基本的に3列シートを備えるため、同じフロア面積の2列シート車に比べて全列を使用した場合はラゲッジのフロア面積は狭い。だが、ほとんどのモデルが3列目シートを跳ね上げたり、床下に収納できるなどのアレンジ機構を備えるため、2列シート状態で考えると、先ほどの直方体気味のボディ形状と、そもそも縦方向に背が高いモデルが多いために広く使えるのだ。また、直方体に近いラゲッジスペースのため、荷物が積みやすいということも挙げられる。

 加えて、長尺物を積む際、ミニバンには2列目席にキャプテンシートと呼ばれる左右独立のシートを採用するモデルも多数あるため、そうした車種であれば荷室から1列目席まで突き抜けるように置くことができる。こうした点もミニバンならではの利点といえるだろう。

②乗車人数の多さ

 クルマには乗車定員が決められており、それを超えて人が乗ることは違法となる。現行モデルとして国産メーカーが販売している乗用2列目シート車は、基本的に4or5人が定員だ。一方で3列シート車は、1列目が2名、2列目が2or3名、3列目が2or3名と、6〜8名が乗車定員となる。前述のとおりSUVにも3列シート車はあるが、3列目席はエマージェンシー的な要素が強い。一方でミニバンは、Sクラスでも一般的な大人の体型であれば、少なくとも6人乗車は普通に行えるのだ。つまり、家族構成等で6人以上が乗車するケースが想定されるならば、必然的にミニバンを選ぶことになる。

③乗降性のよさ

 さきほど、2021年の4〜9月の登録台数ランキングの上位20位に含まれるミニバンとSUVを挙げたが、そこに入っているミニバンはすべてリヤドアがスライドドアのモデルだ。スライドドアは、ボディを横から見た際、前方斜めからも、後方斜めからも、垂直にもエントリーできる。

 また、小さいお子さんや高齢者などは、フロアやシート座面に手をついて頭から乗り込むことができるなど、乗車の態勢に自由度が高いのだ。それゆえ、2列目席への乗車が、スイングドアモデルに比べると高いといえる。

④アウトドアにも便利

 ミニバンには1列目席の間を通ることができる、ウォークスルー機能をもったクルマが多いため、前席と後席の移動が車内で行える。たとえば雨の日に、運転席や助手席の乗員が後席へと移動、その広い空間を利用して雨具の準備をするなども可能だ。

 アウトドアシーンで考えると、1列目から3列目シートまでを倒し、フルフラットと呼ばれるベッドのような状態を作ることができるクルマも多い。1〜2名であれば、車内でシッカリとした睡眠をとることもできる。こうした点からも手軽にアウトドアを楽しむのに、ミニバンは便利だといえるだろう。

■今人気のミニバン5選

①トヨタ・アルファード

新車価格帯:359万7000円〜775万2000円(特別仕様車除く)
中古車価格相場:200万円〜850万円

 上記の販売ランキングにもあるとおり、圧倒的な人気を誇るのがトヨタ・アルファードだ。まずボディサイズはLLクラスと呼ばれる大きなものだが、当然国産車であるために通常使用していて取り回しに難儀することはない。

 そしてアルファード最大の特徴は、なんといってもその豪華さだ。ショーファー的に使われるケースも多く、非常に広い室内に加えて、2列目シートは4パターンから選択することが可能。もっとも豪華なエグゼクティブラウンジシートは、パワーオットマン、小物入れやカップホルダーが付いたアームレスト、暖めることも冷やすこともできる快適温熱+ベンチレーション機能などが付き、飛行機のビジネスクラスのような快適さが味わえる。

 エンジンは2.5リッターと3.5リッター、さらにハイブリッドをラインアップ。とにかく豪華さを求める人はアルファードを選べば間違いないだろう。

②ホンダ・フリード

新車価格帯:199万7600円〜327万8000円(ModuloX含む)
中古車価格相場:120万円〜300万円

 Sクラスミニバンとして人気を誇るフリード。現行モデルは2代目となるが、初代が登場した2008年から、累計で100万台を突破したモデルである。家族のためのミニバンとして考え抜かれたパッケージで、低床フロアによって地面からわずか390mmの位置にステップがあるため、高齢者も子どもも乗り降りがしやすい。

 パワーユニットにはハイブリッドと1.5リッターガソリンを用意。6人乗りと7人乗りが設定されるが、フリード+という、2列シート5人乗りのモデルもラインアップする。走りを重視したModuloX、SUVルックのクロスターなどバリエーションの豊富さも特徴だ。

③トヨタ・ノア&ヴォクシー&エスクァイア

新車価格帯:255万6400円〜337万9200円(特別仕様車除く)
中古車価格相場:100万円〜350万円

 Mクラスで人気が高いモデルが、トヨタの3モデルだ。この3モデルは兄弟車であり基本的には同じクルマといっても問題ないだろう。以前はカローラ店、ネッツ店、トヨタ店、トヨペット店と販売チャンネルごとに販売車種が分かれていたため、こうしたラインアップが揃っているのだ。現在は、全車種全店取り扱いとなっているため、車種統合が進み、エスクァイアとヴォクシーはグレードが少なくなり、ノアがもっとも充実している。

 ノアのボディサイズはグレードによって異なり、いわゆる5ナンバーサイズと3ナンバーサイズが混在する。乗車定員は7or8人で、パワーユニットは1.8リッターハイブリッドと、2リッターガソリンエンジン。走り系グレードのGRスポーツもラインアップする。

 ミニバンの王道ともいえる作りで、使い勝手から燃費、走りまでどこをとっても不満のないクルマに仕上がっている。

④日産セレナ

新車価格:257万6200円〜419万2100円(AUTECH含む)
中古車価格相場:100万円〜420万円

 セレナは上記のトヨタ・ノア系のライバルとなるMクラスミニバン。最大のウリは日産が誇る現在の2大技術であるe-POWERとプロパイロットであろう。

 e-POWERは1.2リッターエンジンを搭載するが、これは完全に発電用として使われ、駆動は100%モーターで行われるため、電気自動車のような走り味が特徴だ。

 プロパイロットはレベル2といわれる自動運転技術で、高速道路などであれば軽く手を添えているだけでステアリング操作をアシストして車線を維持して走行したり、設定車速内で前走車との間隔を維持するようにアクセルやブレーキを操作してくれる装置となる。

 ラインアップには上質な内外装がウリのAUTECHも揃う。

■記事まとめ

 ミニバンはやはり他のボディタイプでは替えの利かないジャンルだといえる。6人以上で乗るなら当然のこととして、たとえ4人程度の乗車人数でも、シートアレンジ、車内空間の活用性などで、ライフスタイルによっては非常に便利に使えるクルマだといえる。また、最近では走行性能がかなり向上しており、背高なボディ形状だからといって不満の出るような中身ではなくなってきている。


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