スケボーにモトクロスにゲーム! 「幼少期からカートで活躍して……」の常識を覆す「転身プロドライバー」たち (2/2ページ)

ジムカーナシリーズのケン・ブロックはスケボー少年だった!

 一方、ラリーシーンに目を向ければ、アメリカ出身のケン・ブロックも他の業界から転向を果たしたドライバーのひとりといえる。

 テレビ番組や自身が手がけるブランド、DCシューズのプロモーションフィルムのプロジェクトで、過激なジムカーナドライビングを行なっていることから、ケン・ブロックをご存じの方もいるかもしれないが、もともと彼はエクストリームスポーツの選手で、スケートボードやモトクロスで活躍していた。

 その身体能力の高さを生かして2005年からアメリカでラリー活動を開始し、2007年にはWRCにデビュー。2010年にはフォード・フォーカスWRC、2011年以降はフォード・フィエスタWRCでWRCに参戦するなど、散発的ながらもラリー競技の最高峰シリーズで活躍したことは記憶に新しい。その後も世界ラリークロス選手権で活躍するなどプロドライバーとしてトップカテゴリーで活躍した。

 そのほか、アメリカ出身のトラビス・パストラーナもケン・ブロックと同様にエクストリームスポーツから転向したドライバーで、もともとはフリースタイルモトクロスで活躍していた。

 2004年よりアメリカで本格的にラリー競技を始めると、2006年にアメリカでタイトルを獲得したほか、2007年からはWRCに参戦。その後もXゲームズやアメリカのラリークロス選手権で活躍しており、2021年もスバルのワークスチームよりアメリカラリー選手権で活躍している。

 以上、簡単に異色なルートからステップアップを果たしたプロドライバーを紹介してきたが、eスポーツが普及しているだけに、今後はオルドネスのようにゲーム出身のプロドライバーが増えてくるに違いない。

 事実、FIAはラリー競技用の若手ドライバー育成プログラム、FIAラリー・スターを2021年に立ち上げており、そのプランのひとつとしてデジタルチャレンジを設定。これはWRCの公式ソフト「WRC9」搭載のドライビングシミュレーターを使用したプログラムで、文字どおり、eスポーツで候補生を選出する。近い将来、WRCにおいてもゲーム出身のドライバーが活躍するに違いない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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スバル・フォレスター
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