今では標準装備が当たり前な機能や装備も歴史が長かった
3)ナビゲーションシステム(ホンダ・アコード)
現在、クルマの装備でありがたさを大きく感じるのが、ナビゲーションシステムである。海外の高級車メーカーが世界初採用したかと思いきや、じつは日本が発祥。
それも、またまたホンダであり、当時は自動車用慣性航法装置=エレクトロジャイロゲーターと呼ばれるもので、1981年、当時のアコードに初搭載されたのである。
以来、三菱電機がモーターショーなどでGPS利用のナビゲーションシステムを提案。それが1990年にユーノス・コスモに採用され、世界初のGPS搭載のカーナビゲーション搭載車となった。
4)アダプティブクルーズコントロール(三菱ディアマンテ)
高速走行でより快適で安全なドライブが実現し、自動運転の入り口ともなっているのがクルーズコントロール。その進化形が、前車追従、停止保持機能などを持つACC(アダプティブクルーズコントロール)である。クルーズコントロール自体の歴史は古く、すでに1958年にはクライスラー・インペリアルに定速走行装置として世界初採用されている。日本では1964年のクラウン(エイト)が、国産車初採用となる(名称はオートドライブ)。
しかしながら、単なる定速走行装置のクルーズコントロールは、広大なアメリカの一本道を延々と走るような場面には適していても、クルマが多く、加減速が繰り返される日本の高速道路では使いづらいのも事実。そこで登場したのが、前走車との距離を一定に保ってくれる、今では軽自動車にも付いているACCと呼ばれるアダプティブクルーズコントロールである。その国産搭載車の第1号は、意外!? にも、1995年に登場した三菱ディアマンテだった。すでにレーダーとカメラを用い、振り返れば、かなり先進的なクルマだったのである。
5)アイサイト(スバル・レガシィランカスター)
そうそう、「ぶつからないクルマ」で有名なスバルのアイサイトだが、その起源は1999年にスバル・レガシイランカスターに搭載されたADA(アダプティブドライビングアシスト)だった。
それが2008年、アイサイトと名前を変え、レガシイアウトバックに初搭載され、進化を続け、今に至っている。
6)モノコックボディ(スバル360)
ところで、装備ではないのだが、今では当たり前のボディ構造、モノコックボディを国産車で初採用したクルマを知っているだろうか。それは1958年に遡る、歴史的名車のスバル360だったのだ。
それは、中島飛行機から続いた富士重工業ならではの航空機技術によって実現したと言われている。もちろん、その採用理由は軽量化とボディ剛性の確保であった。
しかし、そうした世界初、日本初の装備、機能は日進月歩。今では、当時では考えられない飛躍的な進化を遂げている。とくにカーナビゲーションやACCなどによるハイレベルな制御によって、自動運転という近未来のクルマの姿が見え始めている。そして今、ついにハンズオフドライブを可能にした、3D高精度地図や衛星を用いたスバルのアイサイトXや日産のプロパイロット2.0、ホンダのセンシングエリートなどが、クルマの最先端技術として、我々の自動車生活の安全や快適をもたらしてくれているのだ。
とはいえ、この先20年も経てば、そうした現在の最先端技術、装備が、あるいはこれから登場する世界初、日本初の装備が、この記事のように、「そんなものも昔はあった」と、懐かしく語られるに違いない。