熾烈な280馬力競争は多くの名車を生んだのも事実
2)三菱GTO
そのほかのクルマでは、1990年に登場した三菱GTO。
GTOのエンジンは、3リッターのV6ツインターボの6G72エンジン。トルクが43.5 kgf·mもあって、ノーマルのZ32あたりを基準にすると、乗った瞬間に「あ、これは280馬力以上出ている」と実感できるパワーがあった。
3)マツダ・ユーノスコスモ
もう一台印象的だったのは、マツダのユーノスコスモ。量産車唯一の3ローターエンジンにシーケンシャルツインターボをプラスした20Bエンジンの加速力は、燃費の悪さとセットで伝説的。
このクルマもカタログ値は280馬力だったが、実馬力は300馬力以上だったはず。燃費はカタログ値で、6.1km/L(10・15モード)となっていたが、実測ではリッター3km台! 最高出力、燃費ともにカタログ値が当てにならないクルマだった。
その他、1990年代後半になり、2リッターターボでも280馬力が珍しくなくなってきた頃には、280馬力自主規制は有名無実化……。
ECUのセッティングやブースト圧を抑えたり、マフラーを絞って、出力を抑えていた面もあるが、280馬力といいつつ、それ以上のパワーがあるのは公然の秘密のようなものだったし、ユーザーも280馬力としか書かれていないカタログ値には興味がなく、吸排気系チューン、あるいはブーストアップなどのライトチューニングで、どこまでパワーが出るエンジンなのかということに、興味の対象は移っていった。
ちなみに国内仕様の国産乗用車で最初にカタログ値で280馬力オーバーとなったのは、2004年にデビューしたホンダの4代目レジェンド(3.5リッター300馬力)。スポーツカーではなく、高級セダンを第一号に持ってくるあたりに、“お上”への気遣いがうかがえる。