スイッチ操作などには左ハンドル仕様の名残があるモデルも
が、多少、左ハンドル仕様の名残!? があるクルマもないではない。今では電子パーキングブレーキが主流だが、レバー式のサイドブレーキの場合、左ハンドル仕様のまま、左ハンドルのドライバーに近いセンターコンソール左側に付いていると、右ハンドル、右側の運転席からは遠くなり(センターコンソールの向こう側にある)、操作しにくいこともある(特に車幅、室内幅のあるクルマ)。
最近のインフォテインメントシステムは、細かいタッチや文字入力を行うケースもあるのだが、そのスイッチ、キーボードが左ハンドル仕様のままだと、これまた操作、入力しにくくなったりするから困りものである。右利きの人にとって、左手の細かい操作があまり得意ではないからでもある。
まるで、間違い探しのようなスイッチレイアウトの一例として、アルピーヌA110を紹介したい。日本仕様はけっこうしっかり右ハンドル化されているのだが、ボタン式のギヤセレクターの位置が、じつは左ハンドル仕様のままだったりするのだ。具体的には、センターコンソール前端に3つのボタンがあり、左が「D」レンジ、右が「R」、中央上に「N」レンジをレイアウトするのが本国仕様である。つまり、左ハンドル仕様の左側のドライバー席からすると、近いほうに「D」レンジがある。が、右ハンドル仕様でもそのままのレイアウトを踏襲しているため、3つのボタンの右下のドライバーに近いほうが「R」レンジボタンになってしまうのだ。これは左右逆であってほしいです…… (Nレンジボタンはセンターにあるので右左ハンドルで使い勝手は不変)。
また、すでに最新のシボレー・コルベットが、見事に右ハンドル化されていると紹介したところだが、センターコンソール手前端にびっしりと並ぶスイッチ類の操作は、右利きの人なら、むしろ左ハンドル仕様の、右手で操作できるレイアウトのほうが使いやすいと思えるかもしれない。右ハンドル仕様は、もちろん左手で操作することになるからだ。また、左ハンドルが基本のMT車のバックギヤの操作が、右ハンドル仕様だとしにくい(手の動きが不自然になる!?)……と感じる人もいるはずである。
もっとも、左/右ハンドルでハンドリング特性が異なるようなクルマは、今はないに等しく、スイッチの位置などは、ウインカーとワイパーレバーの位置がそうであるように、1台のクルマに乗っている限りは、すぐに慣れるというものではないだろうか。もちろん、日本でクルマに乗る上では、右ハンドルのほうが圧倒的に使いやすいことは言うまでもない。
そうそう、左側通行の英国車(BMWミニを含む)のウインカーが、ほかの輸入車同様に左側なのは、それが国際基準だから。日本車のウインカーが右側にあるのは、日本のガラパゴス的独自基準が理由。ちなみに、BMW Z4と兄弟車のトヨタ・スープラのウインカーの位置が、Z4と同じ左側なのは、世界基準の踏襲だけでなく、開発コスト低減が理由だそうだ……。Z4と違う右側にわざわざ移すのには、ある意味、無駄なコストがかかる、ということらしい。