限定免許のほうが習得が手軽かつ、スポーツカーがそもそも不人気
3)乗りたいクルマに対する憧れが変化
理由の3つ目は、若者が乗りたいと思うクルマが変化したことでしょう。昔は男性が乗りたいクルマとしても、女性がデートで迎えに来て欲しい、彼氏に乗って欲しいクルマとしても、スポーツカーの人気が高かったため、「モテたい」という理由で頑張ってMT免許を取ったものでした。
でも今は、SUVやコンパクトカー、N-BOXなどの軽ワゴンが若者に人気です。それらにもほとんどMT車はありませんから、無理してMT免許を取る理由がないというわけです。
4)渋滞中にMTに乗るのが面倒
理由の4つ目は、日本特有とも言えるものですが、どんな地域でも慢性的に発生する渋滞。MT車で渋滞の中をノロノロと走ることほど辛いものはありませんが、この辛さを経験して懲りると、多くの人が「次はAT車にしよう」と思うものです。
また、エンストをしたりギヤチェンジをミスしたりして、怖い思いをしたという人もMT車に苦手意識が芽生えてしまう可能性もあります。
5)その気になれば限定解除をするだけでMTに乗れる
そして理由の5つ目は、「限定解除」ができるということ。仕事の都合でどうしてもMT車に乗らなければいけなくなった、一目惚れしたクルマがMT車だった、といった理由でMT免許に変更したい場合。そんな時は最初から教習所に通い直さなくても、AT限定免許の限定条件を解除する方法があります。
教習所で限定解除教習(4〜6時間程度)を受講して、審査に合格したあとに運転免許センターで手続きを行うか、運転免許センターで技能審査を受けて合格すればOK。費用は教習所の場合は5万円前後が一般的。最初からMT免許を取るよりは高くなりますが、とにかく早く免許が欲しいという場合や、とりあえずATで取っておいて、必要になったら限定解除をすればいい、と考えれば、AT限定免許を選ぶのもわかりますね。
というわけで、教習所のブログやアンケートなどを参照すると、教習所を卒業後になかなか自分でクルマを所有するところまで実現する若者は減っているものの、レンタカーやカーシェアでドライブに出かけたり、実家のクルマでガマンしつつ、いつか憧れのクルマが欲しいと考えているような若者はいまだに多いということがわかっています。そこにクルマ離れやクルマ嫌いといった事実はなく、新車販売の98%がAT車なんだからAT免許が当たり前、という時代の流れだと捉えるべきではないでしょうか。