この記事をまとめると
■ランボルギーニはかつてアメリカ陸軍用車両としてオフローダーの「チータ」を開発
■軍用プロトタイプの「チータ」をベースに4台のLMシリーズ(LM001〜004)を製作
■最終的に市販化まで辿り着いたのは5.2リッターV12を搭載するLM002のみだった
軍用プロトタイプの「チータ」と民生用の「LM」シリーズ
2018年にデビューして以来、爆発的な人気を誇り、ランボルギーニの生産台数を一気に倍増させるまでに至ったウルス。ランボルギーニはそれをSUVではなくスーパースポーツSUV、すなわちSSUVと呼ぶが、たしかにその圧倒的な運動性能は魅力的なことこのうえない。
だが、このウルスをさかのぼること約40年、ランボルギーニはさらに機動性を重視したオフロードビークル、しかもアメリカ陸軍にそれを納入しようとした。それはMTI(モビリティ・テクノロジー・インターナショナル)社からの依頼による、当時のランボルギーニとしてはきわめて大きなビジネスだった。
そのプロトタイプは「チータ」とネーミングされ、1977年のジュネーブ・ショーでおもに整備性の問題をクリアするために、クライスラー製のV型8気筒エンジンをミッドシップして発表されたが、結局それは他社との競合により、正式に陸軍に採用されることはなかった。
軍用車としての正式採用を目指してわずかに1台のみが製作されて終わったプロトタイプ。ランボルギーニの経営が、ここでどのような道を歩むのかは想像に難くない。それでもランボルギーニは、このチータをベースに、今度は民生用のオフロードビークルを生産しようと計画するが、それが発表されるまでには、長い時間とさまざまなプロトタイプの存在があった。
1981年にはアメリカン・モーターズ(AMC)製の5.9リッターV型8気筒をミッドシップした「LM001」を、また1982年にはランボルギーニ製の4リッターV型12気筒エンジンをやはりミッドシップした「LMA」を発表するが、いずれも販売には至らなかった。
ほかにもLMシリーズには、VW製の3.6リッターターボ・ディーゼルエンジンを搭載した「LM003」や、マリン用のランボルギーニ製エンジンを流用した「LM004」が存在するが、これらもその製品化には成功していない。