日本を代表する2台のセダンは初代のスピリッツを受け継ぐ
2)トヨタ・クラウン
つづいて、日本を代表するセダン、トヨタ・クラウンについて初代と現行型を見比べてみよう。
初代の誕生は1955年で、観音開きの前後ドアがスタイリングの特徴だ。ボディサイズは全長4285mm、全幅1680mm、全高1525mmで、エンジンは1.5リッター4気筒OHVだった。フロントベンチシートで、乗車定員は6名となっていたのは意外かもしれない。
一方、現行型のボディサイズは全長4900mm、全幅1800m、全高1455mm。パワートレインは3.5リッターV6ガソリンハイブリッド、2.5リッター4気筒ガソリンハイブリッド、2リッター4気筒ターボの3タイプ。ボディはサイズアップしたが、国産高級セダンという立ち位置は微塵も変わりない。
3)日産(プリンス)スカイライン
そんな初代クラウンに触発されて、プリンス自動車が1957年に生み出したのが初代スカイラインだった。意外かもしれないが、ミスター・スカイラインとして初代から7代目までの開発責任者を務めた櫻井眞一郎氏自身が「初代スカイラインはトヨタ・クラウンや日産セドリックに対抗して開発した」と言っている。
しかし、日産自動車にプリンスが吸収される前に誕生した2代目スカイラインは、一転してトヨタ・コロナや日産ブルーバードをライバル視したファミリーセダンとして開発された。そのため基本は4気筒エンジンだった。
ちなみに、ボディサイズは初代が全長4280mm、全幅1675mm、全高1535mm。2代目は全長4100mm、全幅1495mm、全高1435mmとかなりダウンサイジングしている。
このようにルーツを初代と見るか、2代目と見るかでスカイラインらしさの評価というのは変わってくる。
さて、現行スカイラインのボディサイズは全長4810mm、全幅1820mm、全高1440mm。パワートレインは3.5リッターV6ハイブリッドと3.リッターV6ツインターボの2種類で、FRプラットフォームとなっている。
2代目をルーツとしたスカイライン像からすると大きくなりすぎている印象もあるが、打倒クラウンを目指した初代モデルの開発背景を思えば、じつは正しくスカイラインとして進化しているといえるのかもしれない。