再利用バッテリーのCO2排出量はゼロになり環境性能が高い
日産自動車が初代リーフを発売する前に創業させたフォーアールエナジーという会社は、EVから外したバッテリーパックをバッテリーモジュールに分解し、モジュールごとの容量を短時間で検査する技術を持っている。
初代リーフの場合、1モジュール内に4セルのリチウムイオンバッテリーが入っており、より精密な容量検査を行っている。検査によって3つの水準に格付けする。一番上の良品はEV再利用できる。2番目は電動フォークリフトなどで使えるし、あるいは災害時の支援用蓄電池としての利用も可能だ。3つ目の一番下の水準でもスマートフォンへの充電器や画面を使った料理のオーダー機能などへの利用が可能だ。
フォーアールエナジーでは、JR東日本の踏切で停電が起きたときの支援用に、リーフから外した再利用のリチウムイオンバッテリーを提供している。従来、鉛バッテリーを使っていた時は頻繁に交換が必要だったが、リチウムイオンバッテリーにすれば中古の二次利用でも長期間交換せずに済む。また、4割ほどの原価低減にもなる。
再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電の一時的な蓄電にも、EVで使い終えたリチウムイオンバッテリーの二次利用で十分役立つ。
クルマとしてのライフサイクルで考えても、素材へのリサイクルの前にリチウムイオンバッテリーとして再利用ができ、単純な二酸化炭素(CO2)排出量比較はできないのである。ライフサイクルの試算方法自体がすでに前時代的であり、21世紀の技術や製品に適した再利用を含めた試算が必要で、EVとハイブリッド車(HV)のCO2排出量がライフサイクルで同等などと語るのは、無知による事実誤認だ。
初代リーフでは、バッテリー積み替えに再利用バッテリーを使うことで20万km近く走った例もある。この場合、積み替えた再利用バッテリーのCO2排出量はゼロだ。21世紀になって20年も過ぎたいま、前世紀型の机上の計算ほどあてにならないものはないのである。