日本メーカーにとって販売比率の低い欧州市場をどうするかに注目
2)日産
これまで50万台以上のリーフを販売し、インフラ整備やEV啓発活動も行ってきた日産は、1月、カーボンニュートラルについて新しい目標を発表した。
2050年にカーボンニュートラルの目標を設定し、2030年代の早い時期から、主要市場である日本、中国、米国、欧州に投入する新型車をすべて電動車両とすることにより、電動化技術の採用をさらに積極的に推進していくという。
一見すべて単独開発のように見えるが、その後6月に発表されたルノーの電動化戦略では、EVプラットフォームはC〜Dセグメントは日産、Bセグメントはルノーが主体となって開発し、アライアンスで共用するとアナウンスしている。
同時に全固体電池を含むバッテリー技術の革新、エネルギー効率をさらに向上させた新しいe-POWERの開発のほか、電力網の脱炭素化に貢献するエネルギーセクターとの連携強化なども進めると表明。インフラを含めた多方面への取り組みを進めていくようだ。
3)ホンダ
ホンダは4月の三部敏宏社長就任会見で、2050年に同社が関わるすべての製品と企業活動を通じカーボンニュートラルを実現すると表明。四輪車では先進国全体でのEVおよびFCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%に高め、2040年にはグローバルで100%を目指すと明言した。
注目は北米で、GMとのアライアンスを柱のひとつとしており、GMのEV用バッテリーを採用した共同開発の大型EVを2024年モデルで投入予定とする一方で、ホンダが開発を主導する新EVプラットフォームの採用車種を2020年代後半から北米を皮切りに世界展開していくという。水素についてもGMとの協業をグローバルで継続するそうだ。
日本では2030年にハイブリッドを含めて100%電動車とすることを目指し、2024年には軽自動車のEVも投入。モビリティサービスでは先日発表があったように、GMと共同開発している車両の技術実証を2021年中に開始する。
個人的には数字の違いより、ホンダとGMのアライアンスが印象的だ。ルノー日産三菱アライアンスともどもしばらく続きそうで、残るブランドはトヨタと資本提携しているから、当面は異なる地域とつながりを持つ3つのグループが存在することになる。この体制はグローバルな戦いではプラスになるだろう。
もうひとつ気づいたのは、ホンダの考える主要市場が北米・中国・日本で欧州が入っていないこと。たしかに最新の販売実績で欧州は3%にも満たない。日産はともかく、他の2グループは欧州に無理に力を注がず、HVも受け入れる北米や中国をメインで考えていくことになるかもしれない。