ガソリンの販売量はピーク時の2割減! ガソスタ過疎地は強制的にEVに乗るしかなくなる可能性も (2/2ページ)

ガソリンスタンドを便利に利用できる状況はいつまで続くのか

 全体としてガソリン消費が減れば、店舗経営は立ち行かなくなるわけで、ガソリンスタンドの数が減るのは自然な話なのである。

 ガソリンスタンドが減った理由として、2011年の消防法改正により地下タンクの耐用年数が40年と定められた影響を指摘する声もある。販売量が減り、体力が落ちているなかで地下タンクの改修に予算を割くのは難しく、この法改正がガソリンスタンド減少を加速させたのは否めない。

 こうしてガソリンスタンドが減ることはユーザーにとってはデメリットであろう。冒頭で記したようなSS過疎地においては給油の手間がかかることで日常生活に悪影響も出ている。

 とはいえ、都市部のユーザーにとっては愛車が省燃費となり、経済的になることのメリットのほうが大きく感じられることだろう。

 総務省統計局の発表によると一般家庭における世帯あたりの年間ガソリン支出額は2000年代前半で5.2万円程度。原油が高騰した2008年には8万円まで急上昇したが、2020年は4.2万円程度まで下がっている。これほど燃料費負担は軽減しているのだ。

 自動車メーカーによっては将来的に電気自動車だけにすると宣言している会社もある。

 電気自動車は給油不要であり、ガソリンが売れなくなる未来は着々と近づいている。はたして、ガソリンスタンドというインフラを誰もが便利に利用できる状況はいつまで続くのか。すでにSS過疎地が生まれていることは、都市部の自動車ユーザーにとってもけっして他人事ではない。

 そしてガソリンスタンドというインフラが壊滅的になった地域から電気自動車の普及が進んでいくであろうストーリーも容易に想像できるのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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