スイスポに見る安価なスポーツカーの可能性
86の1カ月平均登録台数は、コロナ禍の影響を受ける前の2019年は前述の400台だが、フェアレディZは50台、レクサスRCは140台(RC Fを含む)、ロードスターが86と同等の400台であった。
86の姉妹車となるBRZは、2019年の1カ月平均が100台少々だ。86の25%だが、スバルの店舗数は全国に約460箇所だから、トヨタの10%に留まる。そうなると1店舗当たりの売れ行きは、86よりもBRZが多い。
以上のように2ドア/3ドアボディを備えたスポーツカーの売れ行きは、中堅レベルが1カ月に100〜200台で、400台になると好調な部類だ。ちなみにコンパクトカーのヤリスやSUVのヤリスクロスは、登録台数をそれぞれ別々に算出しても、両車ともに1カ月当たり9000〜9500台になる。この売れ行きに比べると、86やロードスターは約4%に留まる。
しかし、スポーティな車種が全部売れないわけではない。スイフトスポーツは、2019年、2020年ともに、1カ月平均登録台数が900〜1000台に達した(1.2リッターエンジンのスイフトを除く)。86やロードスターの2倍以上だ。
スイフトスポーツは、コンパクトカーのスイフトをベースに開発された5ドアハッチバックだから、86やロードスターのような純粋なスポーツカーではない。それでもエンジンは1.4リッターターボで動力性能に余裕があり、足まわりにはモンロー製のパーツを使うなど、いわゆる本物指向に仕上げた。
そしてスイフトスポーツの価格は、6速MTが201万7400円だ。新型のGR86、BRZ、ロードスター(1.5リッターエンジンのソフトトップ)と比べて、100万円前後は安い。
最近はスポーツモデルの価格が高騰した影響もあり、運転が楽しい割に価格は安く、実用性も相応に確保するスイフトスポーツに人気が集まった。従って購入しやすいスポーツモデルを発売すれば、需要は今後も増えるだろう。