すでに撤退してしまったマツダのミニバンの歴史を振り返り! 中古車情報も (2/2ページ)

■なぜマツダはミニバンから撤退した?

 MPVが2016年、そしてプレマシーとビアンテが2018年に生産終了となりマツダはミニバンから完全撤退となった。近年の国産自動車メーカー各社は、トヨタも含めて車種の統合整理を行っており、簡単にいえばメーカーの強みを出しつつ効率のいい販売を行っていくようになった。

 そうした流れのなかで近年のマツダは、デザインコンセプトに魂動デザインという非常に流麗なデザインを用い、マツダ車を特徴づけ、それを強みにしてきた。それはたとえばコンパクトカーであるマツダ2のデザインがあまりにスポーティすぎて一部の女性客から手を出しづらいと言われるほどのこだわりようである。室内の広さを重視しなければならないミニバンは、どうしてもそうしたデザインコンセプトに当てはめづらい、つまり、いまではマツダ車らしくないと言われてしまう可能性がある。

 もうひとつはグローバルでの車種統一であろう。以前までマツダの日本販売モデルは、デミオ、アクセラ、アテンザなどという車名が用いられていたが、現在はそれぞれマツダ2、マツダ3、マツダ6というグローバルの名称が用いられている。

 ミニバンは日本では人気ジャンルで、実用面だけでなく、高級車扱いされるといったステータスが築きあげられている。しかし、海外では商用車ベースという見られ方や、スポーツをする子どもの送迎用のクルマという見られ方をするなど、決して人気ジャンルではない。それゆえ、グローバルでの販売効率を考えた際に落とされやすいジャンルなのだ。

 このあたりがマツダがミニバンから撤退した理由と考えられる。

■マツダのミニバンの復活はないの?

 答えからいってしまえばマツダのミニバン復活はないだろう。その理由は、前述したとおり、いま国産の各メーカーは車種ラインアップの整理を行っているところであるからだ。

 そのなかには長い歴史をもつトヨタ・エスティマ(すでに終了)や、ホンダ・オデッセイ(まもなく終了)、日産エルグランド(終了の噂)といった王道のミニバンたちが含まれる。当然これらの車種が消えてしまう理由は、フルモデルチェンジというコストとかけてもそれに見合った台数が売れないと判断されたからであり、つまり企業の利益に合致しないからである。

 マツダが現在販売している車種は、シャシーやボディからパワートレインまで、SKYACTIVと呼ばれる技術が用いられている。もしもマツダがミニバンから撤退しておらず、SKYACTIV技術を用いたミニバンを販売しているのであれば、一部をキャリーオーバーしてフルモデルチェンジして継続ということも可能であろうが、これからミニバンを復活させるとなると一からの開発となる。ましてやいまミニバンはスライドドアでなければ売れず、いまやマツダは商用車のボンゴもOEM供給を受けていて、スライドドアのラインもない。つまり一から開発するには相当なコストがかかるため、仮にある程度の台数が見込めたとしても復活は難しいだろう。

 加えていま、世界的にクルマのパワートレインは電動化が重要となっている。室内の広さが重視されるミニバンは、純エンジン車に比べても大きな駆動用バッテリーなどで容量を食われる電動化と相性が悪い。マツダはいま世界的にブームであるSUV攻勢を強めているところでもあり、そうした観点からも復活はないと思われる。

■マツダのかつてのミニバンの中古車相場

①MPV

 MPVは1990年に初代が発売となったこともあり、中古車相場は幅広く、一桁万円から150万円程度という情報がある。もしいま中古でMPVを狙うとして、現実的に購入を検討するとなれば2006年以降の3代目となるだろう。実際、初代と2代目は中古市場での玉数が少ない。

 3代目だけで中古相場をみてもやはり一桁万円から150万円程度となっており、年式によるが100万円以下で低走行の個体も多く、かなり安価に入手できるだろう。

 平均価格は50万円以下といったところだ。

②プレマシー

 プレマシー全体の中古車相場は、調べた時点の情報では一桁万円から170万円程度となっている。現実的に購入を考えるなら2010年に発売された3代目で、とくにSKYACTIVのエンジンとトランスミッションが搭載された後期型が狙い目となるだろう。

 そうなると価格相場は20万円から170万円程度となっているが、100万円から170万円の間にかなりの数の個体が存在するため、支払い総額で150万円程度の予算を見込んでいればある程度の数のなかから気に入った車両を探すことができるだろう。

③ビアンテ

 ビアンテの中古車相場は、調べた時点で約10万円から200万円といったところだ。ビアンテはフルモデルチェンジを行っていないため、一代限りのクルマではあるが、やはり狙い目となるとプレマシーと同様にマイナーチェンジを実施した2013年以降のSKYACTIV搭載車となるだろう。

 マイナーチェンジ後のモデルだけの相場は、30万円から200万円といったところで、ある程度個体を選ぶのであれば、総額100万円以上の予算は確保しておきたいところだ。

■まとめ

 マツダが近年まで生産していたミニバン3台について、歴史や中身を見てきたがいかがだっただろうか? 主に外観デザインであるが、現在のマツダらしさはないものの、個性的な意欲作を製造していたことがわかるだろう。恐らく復活はないため、中古で乗るならばいまが最後のチャンスかもしれない。


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