この記事をまとめると
■日産のコンパクトカーの中では2005年に初登場した比較的新しいモデルのノート
■2代目モデルでe-POWERが追加され販売が大幅増
■3代目モデルではe-POWER専用となり派生モデルも登場
日産のコンパクトカー史に刻まれる新たなるモデル
1966年から40年以上に渡って大衆車として愛されたコンパクトセダンのサニーやその弟分のパルサー、合理的なパッケージングで1000ccクラスでありながらも大人5人が乗車できるハッチバックのマーチなど、日産には名車と呼ばれるコンパクトカーがある。そして近い将来、コンパクトカーの名車としてその名を連ねていそうなのが、2005年に初代モデルが登場した日産ノートだ。果たして日産ノートはどんなクルマか、ここでは歴代モデルを振り返りながら紹介したい。
■日産 ノートとは?
前述した通り、日産ノートの初代モデルの登場は2005年と21世紀に入ってからで、歴史の長い日産の中にあってはかなり新しいモデルとなる。
1)初代 ノート 2005年〜2012年
2005年1月に登場した初代ノートは、マーチなどにも採用されていたBプラットフォームをロングホイールベース化したコンパクトハッチバック。日産は2004年のパリサロンで「トーン」というモデルを発表しているが、これはノートの欧州仕様で、「NOTE」をアナグラムで「TONE」として発表するという言葉遊びがなされていた。日産によると「ノート」という車名は、毎日をリズミカルに楽しく「NOTE(音符)」と、そんな毎日を記録している「NOTE(ノート)」からイメージしたとされている。
用意されたパワートレインは、デビュー当初は109馬力の1.5リッター直4ガソリンのみであったが、その後、同じく109馬力1.6リッターの直4ガソリンも追加されている。駆動方式はFFと4WDを用意した。
また、デビュー当初からオーテックバージョンである「ライダー」も用意されており、スポーティな仕様が好評だった。
ボディサイズは全長4020mm、全幅1690mm、全高1535mmと非常にコンパクトで、スタイルはハッチバックとなるが、リアハッチが垂直に立ったミニバンに似たフォルムになっており、事実、欧州ではミニバンに分類されることもあった。延長されたホイールベースとこのスクエアなキャビンにより、コンパクトカーでありながら高い居住性と広い荷室を確保していた。
この実用性の高さは世間にも好評だったようで、初年度となる2005年には9万3925台を販売。これは日産としてはティーダに次ぐ年間販売台数で、その年の登録車の年間販売台数においても5位を記録している。その後もノートは、毎年4.6万〜7万台を販売する、日産を代表する人気モデルとなった。
2)2代目 ノート 2012年〜2020年
日産の人気モデルに成長したノートは、2012年9月、フルモデルチェンジを受けて2代目へと進化を果たした。
初代に比べてヘッドライトやグリルの形状にシャープさが与えられ、全体的にスポーティなスタイルになったが、ボディサイズは全長4100mm、全幅1695mm、全高1525mmとほぼ初代を踏襲し、実用性の高さは損なわれていない。プラットフォームはAセグ・Bセグ・FF用のVプラットフォームを採用。
2代目へのモデルチェンジで最大のトピックがパワーユニットの変更で、1.5リッター/1.6リッターだったエンジンが、1.2リッター直3+スーパーチャージャーのガソリンエンジンにダウンサイジングされたことだろう。これにより最高出力も79〜98馬力となっている。
しかし、このパワーダウンは世間にはエコに対する取り組みの一環として捉えられ、マイナスイメージになることはなかったようで、同年9月の販売台数が月間販売台数目標値の2倍弱となる約1万8000台超を販売し、その後もコンスタントに売れ、2013年にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーも受賞した。
しかしながら、そんなノートに、2016年11月のマイナーチェンジで劇的な変化が訪れた。このマイナーチェンジでノートはVモーショングリルを採用してスポーティさと上質さを大幅に向上させるとともに、パワートレインとして、e-POWERを採用したのだ。
詳しくは後述するが、e-POWERは、エンジンで発電した電力をモーターの動力として走行するシステムであり、量産型コンパクトカーへの搭載は世界初となるシステムだった。
これによって2代目ノートの人気は爆発し、2016年11月の国内販売台数が1万5784台を記録。これは軽自動車も含めてもトップの販売台数である。そして2018年にはついに13万6324台を販売し、日産車として初めて年間販売台数1位を記録した。
3)3代目 ノート 2020年〜
名実ともに日産の最販車種になったノートであるが、2020年のフルモデルチェンジでさらに大きな一歩を踏み出すことになる。
この3代目よりノートはe-POWER専用モデルへとなり、さらにはノートオーラという派生モデルも生み出したのである。
■エンジンで発電しモーターで走るe-powerを初導入したクルマ
2代目の途中から、そして現行モデルである3代目まで、ノート大躍進の要因であり、いまや代名詞になっているといっても過言ではないe-POWER。その搭載は前述の通り2016年11月、2代目ノートからであり、量産コンパクトカーでは世界初となるシステムだ。
ボンネット下にある1.2リッター直3エンジンは、基本的には動力に利用されることはなく、発電をするためだけに使用される。エンジンで発電された電力は一旦バッテリーに蓄積され、この電力を使ってモーターを駆動してクルマを走らせることになる。
電力制御と駆動制御には、日産が誇る電気自動車のリーフで培った技術が転用されており、それはほとんどエンジンを積んだリーフと言える代物で、JC08モードではあるが、その燃費は34.0km/Lとかなりの数値を記録。新時代のハイブリッドシステムと強く印象付けるものだった。
このe-POWERは、3代目ノート搭載時には第2世代へと進化。ユニット自体も小型軽量化され、若干ではあるがモーター出力もパワーアップした。