e-POWER専用モデルとなり派生モデルも登場
■現行版の詳細スペックをおさらい
さて、そんな第2世代e-POWERを搭載しe-POWER専用モデルとなった3代目ノートが登場したのは2020年11月。Vモーショングリルが大型化され切れ長になったヘッドライトと一体化し、日産のBEVであるアリアと共通のイメージとなった。ノートは2代目モデルからスポーティな雰囲気を前面に打ち出しているが、3代目では、フロントウィンドウが寝かされ、ショルダーラインをボディ後部で跳ね上がることで、全体的にはさらにスポーティさが強調されたスタイルになったと言えるだろう。
ボディサイズは、全長4045mm、全幅1695mm、全高1505mmと2代目よりも短く低くなっている。ルノー・ルーテシアと共有となるCMF-Bプラットフォームを採用した事による影響だろうか、ホイールベースも先代モデル比で20mm短くなっており、ノートの魅力のひとつであった後席の広さは若干ではあるが失われている。ただし、それでもクラストップレベルの広さは維持されているため、窮屈さは感じないだろう。
インテリアもe-POWER専用モデルに相応しく、デジタル化が一層進んだ。メータパネルはバイザーのない7インチ+5インチの液晶ディスプレイで、オプションのNissanConnect対応ナビを装着すれば、ダッシュセンターにも9インチのディスプレイが備わる。センターコンソールはブリッジのようなフローティングタイプで、シンプルながらも先進性にあふれたものとなっている。
安全・支援機能面では、プロパイロットがナビリンク機能が備わった最新バージョンとなり、プロパイロットの作動領域が拡大されている。
そして気になる第2世代e-POWERだが、主要コンポーネントと制御の設計が見直されており、よりEVっぽい、そして力強く上質な走りがウリだ。具体的には、駆動用モーターは最高出力116馬力を2900〜10341回転と非常に幅広い回転域で発生し、最大トルクも0〜2900回転で280N・mを発する。これにより0-100km/h加速は8〜9秒で、これは2リッターエンジンとほぼ同等の動力性能になっているそうだ。ちなみに最高速度は160km/h。
また、第2世代e-POWERのトピックとしては、4WDモデルが、リヤモーターの大幅強化によって本格派の電動4WDになったことも挙げられる。2代目ノートe-POWER 4WDのリヤモーターは3.5kWの小型モーターで、発進時にアシストが入るだけの簡単なものであった。しかし、3代目ノートはリヤモーターを50kWに大型化し、発進時だけでなく雪道やウエット路、登坂路などでも後輪がしっかりと駆動力を発揮するようになり、安定した走行性能を手に入れている。
気になる燃費性能はJC08モードで28.2〜38.2km/L、WLTCモードでも23.8〜29.5km/h。FFモデルで比較した場合、ライバルとなるホンダ・フィットe:HEVとほぼ同等の数値をマークしている。
■派生モデル、ノート オーラとは?
3代目ノートに関しては、もうひとつ大きなトピックがある。それが派生モデルとも言えるノートオーラの登場だ。ぱっと見ではヘッドライトがさらに細めになったくらいで大きな変更はないように思えるが、実は全幅がオーラよりも40mm広い1735mmになっており、シリーズ初の3ナンバーモデルとなっている。しかも、ボンネット、ルーフ、リヤゲート、フロントドア以外はすべて専用品となっており、単にフェンダーをワイドにしただけのモデルではない。
インテリアにも大幅に手が入れられており、メーターパネルの液晶が12.3インチの1枚ディスプレイとなったことで、中央にナビ画面を表示するエンハンス表示も選択できるようになった。木目調パネルとツイード表皮、シフトまわりにイルミネーションが加わるなど、全体的に上質感がアップしている。
パワーユニットも、ベースであるノートのものをそのまま横展開するのではなく、フロントモーターの出力は136馬力、トルクは300N・mと大幅にパワーアップされた。その走りは、広げられたトレッドとタイヤ幅の効果により、ベースモデルのノートよりもどっしりとして安定感のあるものになった。
そのスタイル、装備内容、走りの質から、ノートオーラは令和版の小さな高級車といった印象だ。
■記事まとめ
日産の新時代の大衆車たるべく誕生し、世界初となるe-POWERの設定で人気爆発したノート。現行モデルとなる3代目ではe-POWER専用モデルとなっただけでなく、さらに魅力的な派生モデルまでも用意している。どうやらその人気に死角はなさそうだ。