新型フェアレディZの型式は「Z34」のまま! フルモデルチェンジでも型式が変わらない「謎」に隠れた「日産の良心」 (2/2ページ)

高価になりすぎるのを防ぐための日産のファインプレー

 フェアレディZの国内市場における登録台数は、1カ月平均で見ると2020年が40台弱、コロナ禍の影響を受ける前の2019年でも約50台だ。この販売規模で、型式指定のコストを価格に転嫁すると、1台当たりの負担が増えて価格も高めてしまう。そこを避けるために、先代型と共通の型式にした。

 ただし、それが許されるとすれば「型式指定とは何なのか」という疑問も沸く。フルモデルチェンジを行ってクルマの作りが大きく変わったのに、型式指定を受けなくて良いのか。この点を国土交通省に尋ねると、以下のように返答された。

「型式にはフルモデルチェンジといった概念はない。変更の内容が同一型式の範囲に収まっていれば、型式を変える必要はない。それを逸脱する変更を受けた時は、新たな型式指定を受ける必要が生じる」。

 それなら何を基準に同一型式の範囲に収まるか否かを決めるかだが、型式指定実施要領によると、「普通/小型の種別、レシプロエンジン/ロータリーエンジン、前輪駆動/後輪駆動などが変更を受けると、型式も変わる」としている。

 つまり、規模の大きな変更を受けない限り、型式を踏襲しても良いわけだ。エンジンやプラットフォームを変更しないフルモデルチェンジも多く実施されているので、型式を踏襲できるケースも少なくない。一般的にはピラー(柱)、ルーフ、ドアなどの形状が変更されるとフルモデルチェンジと呼ばれるが、それは型式とは異なるものだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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