あまりにも売れすぎてブームの火付け役になった車種も
3)ホンダ・シティ(初代)
さて、CMソングが印象的なモデルといえば思い出すのがホンダ・シティだろう。1981年に誕生した初代モデルにおける、イギリスのバンド「マッドネス」によるムカデダンスと『ホンダ、ホンダ、ホンダ』と連呼するCMパフォーマンスはいまも伝説となっている。
そんなシティは、クルマの設計としてもユニークだった。トールボーイスタイルに1.2リッターエンジンを組み合わせたコンパクトカーというのは、いま見れば当たり前のパッケージに思えるが、当時としては斬新だった。
さらにブルドッグの愛称がつけられたインタークーラーターボ仕様や、カブリオレなどバリエーションも豊富に作られ、単なるエントリーモデルではなく、ひとつのカルチャーを生み出していったのだ。基本的に3ドアハッチバックだけのボディバリエーションであったためターゲットユーザーは広くはなかったが、それでも5年間で30万台以上をセールスするなどコンパクトカーとしてはスマッシュヒットとなった。
そんなシティは2代目において一転してローフォルムに変身、その後ロゴというモデルを経て、現在のフィットにつながっている。
4)スバル・レガシィ(2代目)
最後に紹介するのはスバル・レガシィ。レガシィという名前は現在でもレガシィ・アウトバックに残っているが、ここでピックアップするのは日本にステーションワゴンブームを巻き起こしたレガシィ・ツーリングワゴンである。
1989年に生まれた初代から2014年に生産終了となった5代目まで、レガシィ・ツーリングワゴンのイメージリーダーとなったのは水平対向ターボエンジンを積むGTグレード。レガシィによってグランドツーリング性能をアピールしたことが、現在のスバルブランドの構築につながっている。
そんなツーリングワゴンが設定されていた時代のレガシィでもっともセールスを伸ばしたのは1993年にフルモデルチェンジした2代目モデル(BD/BG系)だ。2リッター水平対向ターボエンジンは、シーケンシャルタイプの2ステージ・ツインターボとなり、レスポンスとピークパワーを両立、2リッターとして初の280馬力マシンとなったことも、レガシィブレンドを圧倒的なものとしていった。5速MTを用意していたこともマニアからは高く評価されていた。
そんなわけで、2代目レガシィはセダンとツーリングワゴンを合わせて5年間で50万台近くを販売するほどのヒットモデルとなった。これは初代モデル、3代目モデルと比べても倍近い、突出したセールスだったのだ。