この記事をまとめると
■クルマにとってシートはインテリアの主役的存在で、インターフェースの要でもある
■クルマに採用されるシートにはいくつかの形状が存在する
■この記事ではクルマのシートの種類と特徴を解説する
バケットシートはホールド性が高い
クルマのインテリアの主役的存在で、インターフェースの要でもあるシート。そうしたクルマのシートは、形状によっていくつかの種類に分類されるが、そうした違いを整理してみよう。
まずはバケットシートから。バケットシートの「バケット」bucket(英語)とは、いわゆるバケツのこと。要するにバケットシートは、「バケツ形の座席」という意味。
シートの縁を高くして、そこに身体が沈み込むように座り、肩、脇腹、腰、腿を横から挟むようにしてホールド性を高めたもの。
ハイスピードコーナリングで、身体に強い横Gがかかっても、力むことなく姿勢をキープすることができ、運転操作に集中ができ、クルマの挙動が掴みやすく、衝突時の安全性も高いということで、競技用車両用や悪路を走るための軍用車両から導入されていった。
いまでは本格的なスポーツカーからスポーツセダンまで、バケットタイプシートを採用しているクルマが増えているが、ホールド性の高いバケットシートほど、乗降性は悪いので、日常性重視のクルマほど、身体の固定機能は低いものになっている。
なお、バケットシートの定理として、座面の深さや縁の高さなど、具体的な条件は決まっていない。また余談だが、フランスパンの「バゲット」はフランス語で「杖」のことだ。
このバケットシート、大別するとフルバケットシートと、セミバケットシートの2種類がある。
・フルバケットシート
略して「フルバケ」。背もたれと座面が一体成形で、背もたれが固定されているタイプのシート。剛性とホールド性が高く、軽量でもあるので、レーシングカーやスポーツ施行の高いクルマに装着されている。
・セミバケットシート
略して「セミバケ」。背もたれや座面の縁が高く、ホールド性は高い設計になっているが、リクライニング機能もついていて、より汎用性の高いタイプ。スポーツカーでもメーカーが純正装着に選ぶのはこのセミバケットタイプが多い。
・スポーツシート
スポーツ走行に適したシートという意味で、セミバケットシート、とくにメーカー純正のセミバケのことを「スポーツシート」と呼ぶことがあるが、フルバケも含め、広義的にバケットシート全般のことを指す場合もある。
さて、バケットシート、スポーツシート以外のシートもみていこう。