乗って見たら燃費もよく日本で聞いていたイメージとは違う!
もろもろの確認を終了しいざ出発。いまとなってみれば、搭載される2.2リッター直4エンジンは、当時の日本車の2リッターエンジンと比較すると、かなりトルクがあるなあという印象を持ったのを覚えている。絵にかいたようなベンチシートは、平板なデザインであったが、ホールド性もよく、快適だったのをいまも鮮明に覚えている。日本車を意識したモデルなのか、サスペンションは極端に柔らかいイメージではなかったと覚えている。
もともと、タクシーが大好きだったので、コラムシフトも大好きだったのだが、コラムAT車を運転するのも初めてだったが、次第にすっかりはまってしまった。
当時は“日米貿易摩擦”がまだまだひどかったころで、日本の報道番組では、新車のアメリカ車のドア内張をはがしたら、腐ったサンドイッチや空きコーラ瓶が出てきたなど、とにかく、「アメリカ車は燃費も悪いし、大きいし、品質も悪い」といったことが紹介されていた。80年代にデビューしたアメリカ車はとくに最悪の品質ともいわれたが、実際運転して見ると、確かに不安な部分や(念のためエアコンは使わず運転した)、当時の日本車と比べても古めかしい部分はあるが、シートの出来の良さや、トルク志向のエンジンなど、クルマとしての本質的な部分での性能としては、日本で言われているほど悪いものではないと思った。むしろ、当時の日本車よりは良い印象を受ける部分も目立っていた。
当時のアメリカにおけるガソリン代は水(ミネラルウォーター)より安く、セントラでタンク半分ぐらいまで減った時に給油しても、日本円で400円程度だったことに衝撃を受けたことを覚えている。それでも、すでに「ガソリン価格が上昇している」ということだったが、リライアントクラスでは目立って燃費が悪いというイメージもなかった。
このリライアントとの出会いが、筆者の“アメ車LOVE”に火をつけた。帰国後、銀座の行きつけの洋書屋さんで、アメリカの新車バイヤーズガイドを買いあさったりして、どんなモデルがあるのかの研究に没頭した。社会人になっても年に1回はロサンゼルスへ行き、ひたすらレンタカーを乗り回すようになり(ここ最近はコロナのせいで行けていない)、料金は高くなるが、ベンチシート&コラムシフト(ベンコラ)のアメリカ車のあるクラスを選び、ベンコラ車で快適なドライブを楽しんでいた。しかし、近年ではレンタカーといえば、日本車ばかりとなってしまったので、アメリカではタンク容量も含めてサイズが小さめなのだが、アメリカのカローラに乗って楽しむことも多くなった。
まさに「百聞は一見にしかず」、日本の報道を見る限りでは、「アメリカ車なんかとんでもない!」という気分になるだけだったが、実際アメリカで運転すると、「言うほどひどくないというよりは、なかなかいいじゃない」という気持ちになった。
この経験により、話を聞いた時に少しでもモヤモヤした時は、「とりあえず実際に見に行ってみよう」ということを心掛け実践している。