この記事をまとめると
■子育てにやさしいクルマとシニアにやさしいクルマは見事に合致している
■リヤドアはスライドドアで高い全高の低床パッケージなクルマが子育てにやさしい
■高全高で低床の両側スライドドア車はシニアも乗降時の足運びが楽で快適に乗り降り可能
子育て世代のクルマ選びのポイントは後席の乗降性と広さに注目
子育て世代の家庭に、両親などシニアな人がいるケースも多いと思う。そんなケースで、子育てにもシニアにもやさしいクルマを選ぶなんて、ちょっと欲張りすぎる……、と思うのは早合点。筆者がご近所のそうした家族から、新しいクルマ選びの相談を受けたのを機にいろいろ考えていると、じつは子育てとシニアにやさしいクルマは見事に合致しているという事実が判明したのである。
まず、子育て世代にとって使いやすいクルマの要件を挙げていくと、主に子供を乗せる後席の乗降性、機能に集約される。親が子供を抱いたまま乗降しやすく、チャイルドシートに乗せやすく、子供が快適に乗っていられ、親が子供のケアをしやすいクルマ、ということになるはずだ。
であるならば、リヤドアはヒンジ式よりスライドドアが圧倒的に有利で便利だ。つまり、全高が高いミニバン、2列シートのプチバン、スーパーハイト系軽自動車である。高い全高+スライドドアのクルマなら、背を大きくかがめずに子供を抱いたまま乗せ下ろしが可能になり、室内高に余裕があれば、乗り込んだあと、子供をチャイルドシートに座らせる作業もラクラクだろう。それに低床パッケージが加われば、乗り降りは一段と楽になる。
スライドドア車で低床自慢のクルマを挙げると、スライドドア部分のフロア高は、子供を乗せるのにぴったりなMクラスボックス型ミニバンではワンステップフロアのヴォクシー&ノアの360mm、ステップワゴンの385mmが優位。セレナはステップ高390mm、フロアはそこから70mm高い450mmの高さになる。
プチバンではスズキ・ソリオが365mm、トヨタ・ルーミー、兄弟車のダイハツ・トールが366mm。コンパクトミニバンのトヨタ・シエンタは何とノンステップバスに匹敵する330mm。
スーパーハイト系軽自動車ではN-BOXが360mm、ダイハツ・タントが370mm、日産ルークス、三菱ekクロススペースの兄弟車が360mm、スズキ・スペーシアが345mmとなる。
ワンステップフロアの低さでは、トヨタ・シエンタ、スズキ・スペーシアがベストと言える。
つぎに、雨の日に子供を乗せ下ろしさせる場面を考えてみる。そこでは前後席スルー機能がクローズアップされる。子供をスライドドアから乗せたあと、後席部分から、車外に出ることなく前席に直接アクセスでき、親が目の前からいなくなることがないため、子供も安心である。一方、クルマから降りる際も、前席から前後席スルーで車外に出ることなく後席にアクセスできるというわけだ。これは雨の日に限らず、便利なはずである。