この記事をまとめると
■いまやほとんどの人がATを選択、ATの大型車のも普及してきている時代
■そのようななかでトヨタはMTをラインアップするクルマが多い
■トヨタのMT車が及ぼす影響について解説する
現行カローラにもMT仕様は健在
筆者が運転免許を取得した、いまから35年ほど前の日本では、MTからATへ主流が移ろうとしており、“AT比率”というものがたびたび主要メディアで取り上げられたりしていた。
世の中が本格的なバブル経済に突入していこうという時期であり、新規にマイカーを持つ家庭が爆発的に増え、セカンドカー需要なども目立ってきていた。完成車メーカーとしては、ATによるイージードライブをアピールし、新車の販売促進を強化していたこともAT増加に拍車をかけたようだ。
それまでの日本では、ファミリーカーといえどもMTが主流であった。トヨタ・カローラクラスの量販グレードや上級グレードでは、4速か5速、どちらかのMTを選べたりもしていた。
筆者の家庭では1976年に4速MTのトヨタ・スターレットが初めてのマイカーとなり、そのあと4代目カローラセダン、6代目カローラセダン、7代目カローラセダンとマイカーが変わっていったのだが、ここまですべてMTであった(6代目カローラセダンで5速MTになった時はうれしかった)。
70年代のトヨタ・コロナあたりでは、フロアシフトかコラムシフトかまでも選択可能であった。タクシーも80年代後半あたりまではコラムシフトでMTが当たり前だったが、あっという間にATが当たり前となった。いまや、路線、観光を問わずバス、そしてトラックもATが当たり前となっている。
そのようななかで、現行カローラ系ではセダンやツーリングのW×Bで1.2リッターターボ車(なんとMTのみ)、スポーツのハイブリッド以外には、6速MTがラインアップされている(カローラ クロスには設定なし)が、これはある意味、趣味性の高いMTといっていいだろう。
しかし、カローラではそれまで実用タイプの5速MTのラインアップを続けてきた。これは、ATが当たり前となった日本においても、山間部などの地域では、実用車であってもMTニーズが根強いことへの対応があったと聞いている。現状では、先代カローラ アクシオが併売されており、当然5速MT仕様も用意されている。これも、かなり少数となっているものの、趣味性の高くない実用的なMT車を欲しがるユーザーへの配慮というのもあるだろう。
ただ前述したとおり、いままでMTが当たり前だった、バスやトラックでもATが当たり前になろうとしているなか、トヨタではMTを設定する車種が目立っている。