大型のトラックやバスは2速発進がキホン! 乗用車が2速発進をするケースとは? (2/2ページ)

乗用車で2速発進をする利点はほぼない

 最近の乗用車は、低速トルクが大きいエンジンが多いので、2速発進もそれほど難しくはない。とはいえ、圧縮比が高いディーゼルエンジンに比べれば、ガソリンエンジンの低速トルクは見劣りするし、1名乗車でも5名乗車でも重量は220~240kgぐらいしか変わらないので、メーカーも乗車人数にかかわらず、乗用車は1速発進を前提にギヤ比を組んでいるはずであり、乗用車で2速発進をする理由も利点もほとんどない。

 むしろ、2速発進をするとなると、必然的に半クラッチの時間が長くなるので、クラッチの発熱量が増えて、クラッチディスクの摩耗が早くなり、経済的にはデメリットしかない。

 もし「2速発進なら、シフト操作を省略できる」という点にメリットを感じているのだとしたら、MT車が少数派の昨今、わざわざMT車に乗る必要もないので、シフト操作が不要なAT車に乗ったらいいのでは?

 ただ、一部例外もあって、乗用車でも下り坂での発進や、ぬかるみや雪道など低ミュー路での発進時は、2速発進のほうが適している場合もある(ATでもスノーモードでは、2速発進になったりする)。

 まとめると、トラックでも、乗用車でも、発進に適したギヤ(トルク)を選ぶのが肝であって、トラックだから2速、乗用車だから1速と固定概念を持つ必要はないが、乗用車では通常1速発進の方が理にかなっているといえるだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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