インドではスズキが圧倒的な支持を受けている
では、ところ代わって、インドではどうだろうか。
周知のとおり、インド政府が80年代初頭、スズキに依頼して国民車構想を推進してきたことで設立されたマルチスズキがシェア5割強を誇る。そんなインド市場では、トヨタやホンダもスズキに太刀打ちするのは、なかなか難しい。
以前、インド現地でトヨタ幹部と意見交換した際、彼は「スズキのディーラー各社とディーラーとの関係は極めて良好で、同じような体制をトヨタで作ることはとても難しいと痛感している」と話していた。
スズキは日本でも、地域の自動車修理工場に営業マンが足繫く通い、人間関係を築くという地域密着型の営業スタイルを大切にしてきた。こうした姿勢がインドでも受け入れられているといえる。そんなスズキの手法をトヨタやホンダもしっかり学ぶことで、インドでの日本車に対する信頼度が上がっていくのだ。
こうして、アメリカにしろ、インドにしろ、また他の仕向け地でも、ユーザーとディーラーとの関係性が良くなることで、結果的にクルマの残存価値(リセールバリュー)を高く維持することにつながり、新車販売を円滑に回すことになる。
海外での日本車人気は、クルマ本体のデザインやパフォーマンス、そして燃費の良さだけではなく、クルマを取り巻く充実したサービスの効果が大きい。