運転も旅も楽しめる高性能GTカーであり続けるGT-R
海外の例では、フェラーリはスポーツカーで、ポルシェはGTカーだ。しかしどちらも高性能で、レースにも出場するので、日本ではどちらもスポーツカーといわれることが多い。
ポルシェを代表する911が世代を超えて後席を備えるのは、GTの証のひとつといえる。一方、ボクスターやケイマンはふたり乗りであり、運転を楽しむことに重点を置いた車種だ。それでも基はGTとして歴史を刻んだメーカーだから、ボクスターやケイマンで小旅行を楽しむこともできるだろう。
近年はスポーツカー専門メーカーでも4人乗りの乗用を重視した車種も加わるようになり、GTのメーカーでもSUVが選べるなど、スポーツカーかGTカーかの定義が、メーカーが築いてきた歴史だけで語るのが難しくなりつつある。それでも、語源を理解することで、存在価値を改めて認識することができるのではないか。
そしてNSXは、2000万円近くの高額になり、運転を楽しむためだけに使える人は限りがある。同じスポーツカーでも、フェアレディZやロードスターは身近に楽しめることを重視し、乗用車の部品を流用するなどして構成するので、より多くの人が手に入れることができ、販売台数も見込めるため存続している。
また、その際の販売の主体は米国だ。NSXもまた、米国主導で開発し、米国を主力の市場としたが、それでも超高性能で高額なスポーツカーの販売台数には限界がある。
GT-Rは、運転も楽しめる高性能車だが、高速で旅をしても快適という一面もある。
2007年の登場から14年を経てなお販売し続けるのは、そうした両方の側面をもちあわせた価値が、消費者に認められているからだろう。