ロールスもスポーツカーもOK! でも4ドアのベンツあたりが無難
――先生? Q先生? 聞こえてます?
「……そういったお考えをお持ちの社長さんが多いことは存じております」
――ですよね。ぶっちゃけ、税金ってあんまり払いたくないものだし。
「しかし、車名によって経費になったりならなかったりということはないのです」
――へ? そうなんですか?
「そうなんです。カローラならOKで、ロールスロイスの場合は認められない――などという条文も裁判例もありませんから」
――そうなんだぁ……。じゃあ、そのクルマが法人の経費になるかどうかの”線引き”はどこになるんですか?
「問題となるのは、そのクルマが『仕事のために』使われているのかどうかという一点です。会社名義で所有され、それを仕事に使っているのであれば、どんなクルマであっても、経費計上はまったく問題ありません」
――4ドアのベンツじゃなくてもいいんだ! じゃ、わたしの研究センター名義で好きな2ドアクーペを10台ぐらい買ってもいいわけですね? もちろんそんなカネはないので、仮定の話ですが。
「お買いになるのはご自由ですが、会社名義といえども何台もクルマを持っていて、なおかつそれを経費計上している場合は、否認されるケースも多いですよ。そういった場合は、それぞれのクルマの必要性を明確に主張できなければ、否認される可能性も出てくるでしょうね」
――うむう……。
「ただまぁ言い方は悪いですが、クルマというのは”税金の塊”みたいな側面もありますので、クルマを経費にできないとなってしまっては買う人が激減し、その結果として税収も激減してしまいます。そのため、クルマを争点にする調査官はあまり見たことがないですね。わたしの場合、過去にひとりだけ記憶しておりますが、そのときも結局、否認にはなりませんでした」
わたしがQ公認会計士に聞いた話は以上である。
電話で、なおかつノーギャラで(毎月の顧問料は払っているが)サクッと聞いただけなので、この原稿に書かれている内容は、100%は真に受けないでほしい。より正確なところは貴殿ご自身で、税理士の先生または公認会計士の先生にご確認いただきたいと切に願う。
だがいずれにせよ、「フェラーリだから経費にならない」という仕組みはとくにないようだ。というか正確には、そのフェラーリを貴殿の業務のために使っているのであれば、基本原則としてはとくに問題はないようなのだ。
とはいえフェラーリというクルマは日常的にガシガシ使ってしまうと、税務会計とはまた別種の大問題が必ず生じるので、「フェラーリを社用車にするのは、現実的にはなかなか難しい」というのが答えにはなるのだろう。
必ずしも4ドアである必要はないようだが、冒頭で挙げた書籍のような「中古のベンツ」あたりか、せいぜいマセラティあたりを社用車として経費計上するのが、まぁ無難なのだ。
つまらない結論となってしまい、大変申し訳ないのだが。