この記事をまとめると
■トヨタGAZOOレーシングが全日本ラリー選手権にGRヤリスで参戦中
■勝田選手がGRヤリスを操り、グラベル戦2連勝を達成
■この記事では勝田選手&GRヤリスの勝因について解説する
GRヤリスの車両重量が大きな武器となった
2021年の全日本ラリー選手権には、ご存じのとおり、トヨタのニューマシン、GRヤリスが最高峰のJN1クラスに参戦しており、今季初のグラベル戦として7月上旬に北海道ニセコ町で開催された第7戦「ラリーカムイ」でトヨタGAZOOレーシングの勝田範彦が今季初優勝を獲得。デビュー5戦目にして、ついにGRヤリスが待望の初優勝を獲得したのが、勝田&GRヤリスの勢いは9月10日〜12日に北海道帯広市を舞台に開催された第9戦「ラリー北海道」でも健在だった。
勝田はGRヤリスを武器にSS3/SS6「ヌプリパケ」でSSベストをマークしてドライグラベルのレグ1で首位に浮上すると、ウエットグラベルと化したレグ2でもSS9「オトフケ・リバース1」で大会3回目のSSウインを獲得しリードを拡大。今年で20回目の開催を数える記念大会を制し、勝田&GRヤリスはグラベル戦で2連勝を達成したのが、その勝因はどこにあるのだろうか?
まず、GRヤリスがグラベル戦で2連勝を果たした要因のひとつに、ドライバーのスキルが上げられる。第3戦のツール・ド・九州、第5戦のラリー丹後、第6戦のモントレーとターマック戦においては、FIAのR5規定モデル、シュコダ・ファビアR5を駆る福永修が3連勝を果たしてはいるが、グラベルではターマック以上にドライバーのスキルがリザルトを左右する。
事実、今季初のグラベル戦となったラリーカムイでファビアR5を駆る福永は5位が精一杯という状況で、ラリー北海道では同じくファビアR5を駆る柳澤宏至が4位、福永が5位に低迷。いずれもグラベル戦で上位につけたのは、2連勝を飾った勝田のほか、スバルWRXを駆る新井敏弘や新井大輝、鎌田卓麻でチャンピオン経験者やWRCをはじめとする国際ラリーの経験者がJAFのRJ規定車で上位を独占した。
つまり、グラベルラリーにおいてはマシンの格式の前に、まず、ドライバーの技量がリザルトを左右するわけだが、熟成を極めたスバルWRXを駆る新井親子や鎌田を抑えて、なぜ新型のGRヤリスを駆る勝田が2連勝できたのか? ましてやタイプ的にはターマックを得意とする勝田に対して、新井親子と鎌田はグラベルを得意とするドライバーだが、どこに勝田の勝因があったのか?
ここでクローズアップされてくるのが、2つ目の勝因であるGRヤリスのパフォーマンスだ。なかでも、武器になっていたのが、GRヤリスの車両重量にほかならない。2000ccのWRXに対して、GRヤリスは1600ccとエンジン排気量こそ少ないものの、車両重量は1490kgのWRXに対してGRヤリスは1280kgとカタログ値だけでみても約200kgも軽く、この軽量ボディがグラベルラリーでリザルトに直結していることは間違いない。
事実、勝田は「WRXならオーバースピードでコースアウトしてしまうところも、GRヤリスならふんばってくれる。これがグラベルではターマック以上に顕著に現れていると思う。GRヤリスはWRXよりもワンテンポ速く前に進んでくれるからドライバーとしてラクさせてもらった」とのことで、このライトウエイトこそ、勝田&GRヤリスの2連勝の原動力と言えるだろう。