スポーティなクルマはステップレシオを小さくする傾向にある
もっともあまりにクロスレシオだと、ATとはいえ変速がせわしなくなって落ち着かないし、ワイドレシオになるとスポーティな伸びの良さ、ドライバビリティの良さは失われてしまうのでその加減が難しい。
この辺はメーカーの考え方が表れる部分で、多段AT=レシオカバレッジの拡大というのが基本だが、スポーティなクルマほど、多段ATでもレシオカバレッジを広げすぎずに、ステップレシオを小さくする傾向がある。
また、シフトアップについては各社ともそれほど味付けに違いはないが、エンジンブレーキを使いたくてアクセルを戻したときに、シフトアップする、シフトダウンする、現状の段数をキープする、というプログラムの違いは結構大きい。
ブレーキをかけて減速したときのシフトダウンのタイミングも大事で、これらがドライバーの感覚と一致しているATだと、とっても気持ちがいい走りになるので、そのセッティングのセンスが気になるところ。
そしてギヤ数は多ければエライという単純なものではなく、あまり多すぎても自転車のロードバイクやクロスバイクの多段ギヤように、普段はあまり使わないギヤだって出てきてしまう……。
そういう意味で、乗用車なら10速もあればもう十分なので、これからは、その10速をどう割り振って、いつ使うか、いつ変速させるかという、質の向上に各社力を注いでいく時期だろう。