例えEVであってもポルシェらしさを追求した
そうしたポルシェEV開発が本格化し始めたころ、筆者はドイツで実施された大型リチウムイオン二次電池の国際カンファレンスを取材した。ランチタイムを含めて、ポルシェEVの開発担当者からポルシェが目指すEV技術の方向性について詳しく聞くことができた。
彼はドイツの大手メーカーからミッションeの開発プロジェクトのためにヘッドハンティングされ、電池や充電に関する責任者を務めていた。筆者が「ライバルは当然、テスラ・モデルSになるのか?」と聞くと、「結果的にそうなると思うが、我々が目指すのはあくまでもポルシェらしいEVを追求することだ」と明快に答えてくれた。
ポルシェには、パナメーラから本格導入されたプラグインハイブリッド車(E-ハイブリッド)があるが、EV専用プラットフォームのミッションeは「PHEVとは発想がまったく違う」として、とくに急速充電については「これまでにない高電圧系の方式に対応することがすでに決まっている」とも話してくれた。これがのちに量産される350kW急速充電システムとなる(日本では150kW対応)。
各種報道によると、グローバルでテスラからタイカンへの乗り換えが進んでいるという。セレブにとって、ポルシェのEVに対する信頼と期待の高さを物語っていると思う。
フォルクスワーゲングループは今後も、グループ全体のEVシフトの象徴として、タイカンを筆頭とするポルシェのEV化を強く推進していく。