この記事をまとめると
■ホンダは最近多くの車種の販売終了や終了した車種の復活など疑問を感じる売り方が多い
■背景にはホンダ車全体の統合が図られていない事情があるとみられる
■改善のためにはステップワゴン・オデッセイ・シビックにもっと力を注ぐべきだと考える
ホンダの新車販売は56%が軽自動車
近年のホンダ車の売り方には、疑問を感じることが多い。シビックとCR-Vは、国内販売を一度終了して、その後に復活させた。しかもシビックセダンは販売を再び打ち切り、新型はハッチバックのみになる。
狭山工場の閉鎖に伴い、オデッセイ/レジェンド/クラリティの生産を終えることも発表された。工場は商品を生産するための施設だから、商品の終了に伴って工場を閉めるなら理解できるが、その逆は筋が通らない。
ただしオデッセイについては「ホンダ社内に販売終了に反対する意見が根強く、今後も続行する可能性がある」という話も聞かれる。オデッセイは伝統あるミニバンで、2021年1〜8月の登録台数は、1カ月平均で1786台だ。売れ筋価格帯が350〜450万円のクルマが、1カ月平均で約1800台売れるなら、今では堅調な部類に入る。廃止するのは惜しい商品だから、反対意見が生じるのも当然だ。
S660の終了も不可解だ。廃止の理由は「新たな法規に対応するのが困難」というものだが、ライバル車のコペンも、衝突被害軽減ブレーキを採用していないのに販売を続けている。ダイハツの販売店では「改良や終了する話は聞いておらず、普通に購入できる」という。
NSXも生産規模が小さいから、2021年の時点で現行型は累計2558台しか生産していない。1台当たりの価格が標準グレードの2420万円と仮定して、2021年時点の生産累計が2558台では、現行NSXの売り上げ総額は、2420万円×2558台=約619億円だ。これでは開発費と同等か、それ以下だろう。
NSXは高性能なスポーツカーで、ハイブリッドシステムからプラットフォームまで独自に開発した。その生産台数が2558台(2022年まで生産してもあまり増えない)では、単純に考えて赤字になる。初代NSXは改良を繰り返しながら15年間にわたって生産を続け、累計台数は1万8000台に達した。現行NSXも、同様の生産をする必要があったはずだ。
ホンダ車の生産や売り方がこのように場当たり的になる背景には、ホンダ車全体の統合が図られていない事情がある。日本国内の場合、2021年1〜8月におけるホンダの新車販売状況を見ると、N-BOXがホンダ車全体の34%を占めた。N-WGNなどを含んだ軽自動車全体になると56%に達する。