この記事をまとめると
■日本の自動車メーカーは新型車を母国よりも先にアメリカで公開・発売することが多い
■その理由は販売台数がもっとも多く見込まれるからだ
■日産やスバルの例を挙げ、事情を詳しく解説する
フェアレディZがもっとも多く売れた国はアメリカ
ニューヨークマンハッタンで華々しくワールドプレミアされた、新型「Z」。アメリカ人は「Z(ゼット)」ではなく「Z(ジィー)」と呼ぶ。
そういえば、コンセプトモデルのオンライン発表会の時も、プレゼンの冒頭はアメリカのZファンミーティングからの中継映像だった。
こうした日産の「Z」におけるアメリカ最優先の流れ対して、改めて驚く日本のユーザーがいるかもしれない。
だが、現実として、「Z」史上でもっとも数多く売れた国はアメリカであり、新型の販売数が世界でもっとも多く見込まれるのもアメリカなのだ。
このほか、アメリカ優先の日系ブランドといえば、スバルがある。
2000年代中盤から後半にかけて、スバル(当時の富士重工)はアメリカ優先の商品開発戦略を打ち出した。スバルとして世界戦略を描いた時、スバルの持ち味をどうやって市場拡大に結びつけられるかを熟慮した結果、導き出された答えがアメリカシフトだった。
狙ったのは、サンベルト地帯と呼ばれる東海岸と西海岸を横断するエリアに属する、カリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、ジョージア州などだった。それまでのスバルは、いわゆる生活四駆として降雪地域や山間部での需要が多かったが、それを、よりオンロードでの利用シーンに振り分けようとしたのだ。
そうした流れは、インプレッサ、フォレスターから始まり、レガシィとアウトバックがそれまでの欧州系デザインからアメリカ人好みのテイストに刷新された。その反動として、”ほぼ日本市場向け”としてレヴォーグが生まることになる。