「大味」「直線番長」は思い込みだった! レーシングドライバーが乗って「走りに驚いた」アメ車3台 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ミッドシップ化した新型が話題のコルベットは過去モデルも走りが良かった

■日本車イーターとして開発され失敗に終わったネオンも走りのバランスは絶妙だった

■ミニバンであるアストロにもシボレーのスポーティなDNAが注ぎ込まれていた

世界耐久選手権での活躍が示すアメリカンスポーツの実力

 アメリカ製スポーツカーと言えば、最近登場した「シボレー・コルベット」を思い浮かべる。その最新モデルは伝統のFRレイアウト(フロントエンジン後輪駆動)を廃し、ミッドシップレイアウトとなっていて驚きを与えた。

 そればかりか、コロナ禍の影響で8月開催となった2021年ル・マン24時間レースに参戦。ミドシップモデルとしては初参戦ながら、クラス優勝したフェラーリ488GTEに次ぐ2位でフィニッシュしたのだ。しかも、優勝したフェラーリとは同ラップ。わずか41.686秒差という僅差で、ゴールするまで勝敗が見えない緊迫した熱戦を繰り広げて見せたのだった。

 ほかにもポルシェ911やアストンマーティンなど強豪が居並ぶル・マンでのこの活躍は、ミッドシップ化したことが単なるイメージ変更やファッション性だけでなかったことを如実に物語るものだった。

 シボレー・コルベットはFR時代にもル・マンをはじめとした世界耐久選手権で常に速さを示してきていて、「アメリカン・スポーツここにあり!」と存在感を見せつけていたのだ。

 そこで、今回はこれまでのレースやバトル、テスト試乗などを通じて「走りの良さ」に驚かされたアメリカン・スポーツを紹介してみたい。

1)シボレー・コルベット

 アメ車といえば、大排気量のエンジンを搭載し、大きな車体が特徴的で、走りの性能に興味を持つ人はほとんどいなかった。走行性能を求めるなら欧州車。大きくゆったりとした大陸的な乗り味を求めるならアメ車と勝手に位置付けられていたように思う。シボレー・コルベットも1953年の初代登場時こそ直6だったが、1955年にオプションとしてV8エンジンを用意して以来、派手なボディーワークで架装したアメリカン・マッスルカーとして捉えられてきた。

 1983年に4代目となるC4が登場し、後に筑波サーキットでテストする機会があった。5.7リッターで230馬力前後(当時としては最強レベル)のパワーを発するエンジンに4速のAT(トルコン式オートマチックトランスミッション)を搭載し、いかにもアメ車らしいパッケージングで、発進加速は優れていそうだが、筑波サーキットのようなコンパクトで曲がりくねったサーキットでは扱いにくいだろうと予想した。

 だが、実際に走らせるとその操縦性、ハンドリングの良さに驚かされたのだ。ハードなサスペンション設定で車体のピッチングやロールが抑えられ、フラットな姿勢でコーナリングできた。そのサスペンションはフロントダブルウイッシュボーン式にリヤはマルチリンク式を採用。FRP製となって軽量化されたリーフスプリングを車体の横方向にレイアウトしていた。

 近年、ボルボがXC60などに採用している横置きリーフスプリングをすでにコルベットでは採用していたのである。しかも重いV8エンジンはフロントアクスルより後方のフロントミッドシップに搭載。前後重量配分を理想的にバランスさせてもいた。ラップタイムは測れなかったが、一緒にテストした930型ポルシェ911カレラと遜色ない実力を見せつけられ「アメ車恐るべし!」と初めて印象づけさせられたのだった。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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