この記事をまとめると
◾︎アウトドア派は、大きなバックドアにいろいろな使い道があるので便利
◾︎狭い場所でも大きなバックドアが使えるようになっているのがミニバンの特徴
◾︎ステーションワゴンもバックドアに個性があって面白い
同じように見えるバックドア! じつはそれぞれ特徴がある
ミニバンやユーティリティカーのバックドアは、さまざまな開け方がある。たとえばボックス型ミニバンやSUV、スーパーハイト系軽自動車などは、後ろ側に大きく開く跳ね上げ式バックドアが一般的だ。クルマの背の高さを生かして、大きな開口部が出現し、大きな荷物、背の高い荷物の積載も楽々可能になる。同時に、開けたバックドアがひさしになり、太陽や雨を防いでくれるため、ラゲッジスペースの後端に座って景色を眺め、寛ぐこともできる。アウトドア派にとっては便利なバックドア形状とも言えるのだ。
ただし、Mクラスボックス型ミニバンの例では、車体後方に1mほどのスペースがないと、バックドアを跳ね上げられない、つまり荷物の出し入りがしにくいというデメリットがある。クルマを後ろの壁やクルマにギリギリに止めてしまうと、荷物を取り出すために、いったん、クルマを前に出さなければならない、なんていうこともありがちなのである。そのバックドアを開けるにしても、巨大かつ重量物ゆえにそれなりの力がいるし(ダンパー付きが一般的だが、それでも軽くはないのが普通)、閉める際は、小柄な人だとバックドア側の把手に手を伸ばすのが大変だったりするのである(オプションでストラップを用意しているクルマもある)。
そんな、大きく開く跳ね上げ式バックドアのデメリットを解消してくれるのが、ホンダ・ステップワゴンのわくわくゲートのサブドアである。普通にバックドア全体を跳ね上げて開けることもできるのだが、横開きのサブドアも備え、玄関ドアを開くように開けることができ、そこから人やペットまで乗降することさえできるのだから、さすがクリエイティブムーバーのホンダらしいアイディアと言っていい。そしてサブドアを開ける際の、車体後方に必要なスペースは3段階あり、それぞれ400mm、640mm、760mmと、跳ね上げて開けたときの1200mmよりはるかに小さく(狭い)で済み、車体後方のスペースの大小にかかわらず、荷物の出し入れに苦労せずに済むのである(全体を跳ね上げれば、巨大な!! ひさしとなる)。もっとも、わくわくゲートのサブドアは、車体左寄りに付いているため、ステップワゴンを真後ろから見ると、左右非対称のデザインになっていて、そこに抵抗感を持つ人もいるという(リヤバンパー部分までバックドアという点も)。
大きく開くバックドアのデメリットのもうひとつの解決策が、日産セレナのデュアルバックドアである。普通にバックドアを跳ね上げて開くと、車体後方に必要なスペースは例によって1m前後必要になるのだが、リヤウインドウ部分だけ開くことができ、身の回り品程度の荷物なら出し入れが可能になるというアイディアだ。その際の車体後方に必要なスペースは500mm前後で、バックドア全体を開ける半分のスペースで荷物の出し入れが可能になるわけだ。ただ、荷室上部からのアクセスになるため、床ギリギリに置いた荷物、極端に重い荷物の出し入れには適切ではないかも知れない。一般的なボックス型ミニバンのバックドアのように、大きく開いてひさしにすることもできるメリットは健在だ。