バラバラに分解してネジまで調査? テスラはロックがかかってバラせない? 自動車メーカーによるライバル車研究の実態とは (2/2ページ)

ライバル車を購入し“ネジの一本まで”調査

 具体的にはライバル車を購入してきて、徹底的にばらしてネジの一本までどのようなものが使われているのかを調査する手法だ。これによって製造方法、設計思想、部品サプライヤー、素材などさまざまなことが分析できる。あえて設計図を作成することで、ライバル社の設計の狙いなどが見えてくることもあるという。

 こう聞くと、リバースエンジニアリングというのはパクリの手法と思うかもしれないが、そうではない。たしかに、他社製品と同じものを作ってしまえばパクリ商品となってしまうし、それはパテントなどに抵触する違法行為だ。リバースエンジニアリングというのは、あくまでもライバルの製品をばらすことで、なんらかのヒントを得ようという行為であり、少なくとも分析すること自体は違法ではない。むしろパテントを回避するために活用されていたりすることもあるという。

 かつて、トヨタが世界の高級車ブランドを震撼させたという初代セルシオは、多くの自動車メーカーが、リバースエンジニアリングでバラバラにしたともっぱらの噂だった。いまでもCセグメントのベンチマークと呼ばれるフォルクスワーゲン・ゴルフはフルモデルチェンジをすれば各社が購入して研究・分析しているという話も聞こえてくる。ただし、どんな他社製品をリバースエンジニアリングしたか明言する自動車メーカーは基本的にはなく、あくまで噂話の域をでない。

 そんな噂のひとつに、テスラのモデルは遠隔操作でロックされてしまうのでバラすことができないというものがある。たしかに、車体側に通信機能を持たせているクルマであれば、なんらかの異常を検知してシステムをロックさせることは技術的に可能だ。

 しかしながら、世の中にはテスラのクルマを分解調査して、そのリポートを販売している会社もある。テスラはロックがかかるので、リバースエンジニアリングが不可能というのは、そういう部分はないとはいえないが、多分に都市伝説的な要素が大きそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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