アルファロメオの蛇は人を飲み込んでいる!?
・BMW
四輪だけでなくオートバイも製造しているBMWだが、もとは航空機のエンジンも製造していた。エンブレムはその航空機時代の名残で、飛行機のプロペラが全体のモチーフになっている。青と白の色の意味は、バイエルンの青い空と白い雲。
社名のBMWは、「Bayerische Motoren Werke」=「バイエルン発動機製造」の頭文字。日本のダイハツも、最初の社名は「発動機製造株式会社」で、創業地の「大阪の発動機製造株式会社」=略して「ダイハツ」となった経緯が……。一歩間違えればダイハツも「DMW」だったかもしれない!?
そしてダイハツのエンブレムは、「DAIHATSU」の「D」。
・ロールスロイス
世界の高級車の代表、ロールスロイスのエンブレムは、RとRが重なったデザイン。創業者のチャールズ・S・ロールスとフレデリック・H・ロイスの頭文字「R」を重ねたもの。
現在、自動車部門はBMWの傘下となったが、歴史ある航空機エンジン部門は、一時国有化(イギリス)され、いまは再び民間企業のロールス・ロイス・ホールディングスになっている。
・ロータス
「ロータス」 (Lotus) とは、英語で「蓮」のこと。
蓮は「仏花」としても有名だが、ロータスの創業者のコーリン・チャップマンは、仏教思想に興味があり、「俗世の苦しみから解放されて夢がかなう実」とされる蓮にちなんで、ロータスと名付けたとされている。
エンブレムもその蓮の葉と花の蕾を図案化したもので、”A・C・B・C”は、アンソニー・コーリン・ブルース・チャップマンのイニシャル。
また扇型の緑は、「ブリティッシュ・レーシング・グリーン」、黄色い部分は、明るい日々を表している。
・アルファロメオ
ニョロ(蛇)のマークでおなじみのアルファロメオのエンブレム。
このヘビのマークは、かつてミラノを収めていたヴィスコンティ家の紋章。王冠をかぶりムーア人を呑み込む大蛇(?)が異教徒を飲み込む姿といわれている。
大蛇の左側の赤十字は、ミラノの市章。地元愛そのもののエンブレムだ。
・日本のメーカー
日本のメーカーは、イニシャル系が多い。
トヨタは「T」(2つの楕円は、ユーザーの心とトヨタの心を表現し、大きな楕円はその2つの心を繋ぐ世界を表している)で、レクサスも「L」。前述の通りダイハツも「D」。
ホンダも「H」で、本田宗一郎が嗜んでいた三味線の形状と組み合わせている。
マツダも「M」で、日野も「H」。
その点、三菱のスリーダイヤは日本らしい!
三菱財閥を起こした岩崎彌太郎は、土佐藩出身。明治初期、土佐藩から帆船を申し受け、船旗に『三角菱』を採用した。この『三角菱』は、土佐藩主の山内家の家紋『三ツ柏』と、岩崎家の家紋『重ね三階菱』を重ね合わせたものとされるが、山内家の家紋の三ツ柏をシンプルにデザイン化したものという説もある。
いずれにせよ、この船旗だった『三角菱』が、現在のスリーダイヤにつながっている。
もうひとつ、スバルのエンブレムもオリジナリティが高い。
スバルはカタカナで表記されることが多いが、別名「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれる星団の名前で、純粋な日本語。漢字で書くと「昴」。
富士重工業が中島飛行機の流れをくむ5社の資本出資によって設立されたことに因んで、「六連星」である「スバル(プレアデス星団)」からエンブレムがデザインされた。
ちなみに、自動車の名称に和名を使ったのはスバルが最初。
個人的には、トヨタやホンダ、マツダのように、創業者の名前が社名になったメーカーは、日本独自の家紋をベースにエンブレムを図案化してくれればカッコよかったと思うのだが……。