それぞれが異なる魅力を持った”身近”なスペシャルモデル
一方、リーフNISMOはスポーツ性を高めるアイテムが中心の内容だ。エクステリアは専用デザインの前後バンパーとサイドシルプロテクターなどを装着。これらは見た目だけでなくレーシングカーのテクノロジーを市販車にフィードバックされた機能備品と言う位置づけで、リフトの低減(空気抵抗はノーマルから変更なし)や前後バランスの適正化などの効果を備える。更に専用アルミホイール(18インチ)もリム周辺の形状の工夫により空気抵抗低減の効果も。
インテリアはブラック+レッドのワンポイントとスポーツモデル定番のコーディネイトだが、レッドをバランスよく配置することで意外とシックな印象も。もちろん、機能面も抜かりなしで、アルカンターラ&本革ステアリングやレカロシート(OP設定)の採用で、正確なドライビング環境が整えられている。
メカニズムには専用VCM(加速度&レスポンスアップ)、専用ブレーキチューニング(液圧コントロール性アップ)、専用ステアリング(ギア比14.9)、専用サスペンション(スプリング/ショックアブソーバー/リアバンプストッパー)、専用VDC制御、225/45R18サイズのコンチネンタル・スポーツコンタクト5の採用など、変更部位は多岐に渡る。
ちなみにNISMOの駆動用バッテリーは40kWhのみとっているが、その理由は大容量バッテリー搭載による重量増がハンドリングに影響してしまうため……だそうだ。
では、実際に乗るとどうなのか? まずはリーフAUTECHだが、試乗車は航続距離が長い62kWh仕様。じつはノーマルの時点で40kWh仕様に対して+140kgの重量増の対応でボディ剛性/サスペンションの強化が行なわれているが、40kWh仕様よりも無駄な動きを抑えたフットワークとシットリとした足の動きなどによる落ち着いた走りはノーマルよりAUTECHの世界観のほうがマッチしていると感じた。
ただ、欲を言えば大容量バッテリー搭載で長距離走行もOKだからこそ、更にグランドツーリング性能を高めるようなフットワーク系の専用チューニング(ツーリングスペック!?)も期待したい所だ。
一方、リーフNISMOは専用チューニングの効果がシッカリ出ており、ズバリ「スポーティハッチ」と呼べるクルマに仕上がっている。クイックなギヤ比と今まで以上に4輪を上手に使えるようになったサスペンションセットアップ、そしてグリップが引き上げられたタイヤの採用なども相まって、FF駆動ながらアンダーステア知らずのキレの良いハンドリングと安心感を両立した走りを見せる。
とくにワイディングでは加速感やレスポンスが高められたパワートイレインと1ペダルドライブも相まってリズムよく走ることができるが、調子に乗って楽しみすぎると航続距離はどんどん減るのでご注意を(笑)。
乗り心地はノーマルより引き締められているものの、ノーマルよりフラット感が高い上にスッキリした足の動きなども相まってスポーティモデルとして考えれば快適性も高い。
そろそろ結論に行こう。どちらも目指したコンセプトに見合うキャラクターに仕上がっている。一言で言えばAUTECHは「クールで落ち着き」と高級車からのダウンサイザーも視野に入れたモデル、NISMOは「ホットでヤンチャ」とワクワク/ドキドキを感じさせるモデル……と言ったイメージだ。このように性格は真逆なので優劣ではなく自分のライフスタイルや嗜好に合わせて選んでほしい。
価格はノーマルより高めの設定だが、変更内容を考えればリーズナブルである。リーフの魅力はそのままに、さらなる個性をプラスさせた“身近”なスペシャルモデルたち、どちらを選んでも満足度は高い。