この記事をまとめると
■クルマにとって空力は走行性や快適性に関わる重要な要素
■デザインに見えるクルマの外観もじつは空力に関係していたりする
■この記事では5つの具体例を挙げて解説する
各メーカーが工夫を凝らし空力性能を高めている
クルマにとって空力は重要な要素だ。100km/hを超えると、空気は壁になって立ちはだかってきて、動力エネルギーの大半を、その壁を突き破るのに使用するほど。もちろんそれ以下のスピードでも空力は関係していて、単純に空気抵抗の問題というだけでなく、操縦安定性にも関わってくる重要なポイントだ。また風切り音といった快適性にも関係する。
その改良のために、さまざまな形状や装備が検討されているが、大きなものではバンパー形状やスポイラー、最近ではフロア下部のフルカバー化などがおなじみだろう。しかし、それだけではとどまらないのが最近の空力で、一見するとデザイン性のために見える部分も空力に関係していたりする。今回はそのいくつかを見てみよう。
1)エアロスタビライジングフィン
初代アクアで初装着された出っ張りで、通称、金魚などと呼ばれる。ドアミラーの下やCピラーなどに付けられるもので、最近ではさまざまなトヨタ車に装着されている。
F1からのフィードバック技術とされ、渦流が発生することで左右からボディを内側に押し付ける作用が発生して、車体が安定する。
2)スバルBRZのバンパーのシボ
新型BRZのフロントバンパーを見ると左右にダクトが付いていて、その部分が黒くなっている。表面は縞々&ひし形なのだが、顕微鏡で見ると樹脂の表面はザラザラだ。通称、サメ肌と呼ばれ、こんな小さなレベルでも表面に空気の小さな渦を作り、その上を流れる空気を滑らかに流すという整流効果をもたらす。
トータルのCd値低減にも貢献。効果はかなりのもので、開発当初は整流効果が高すぎて直進安定性が向上しすぎるあまり、コーナー入口でノーズの入りが悪くなるほどだったという。最終的には最適な効果が得られるようダクトの角度が調整されている。