「たかが通気口」なんて言って塞いでしまうのはご法度!
で、ここからが本題なのだが、そうとは知らず、後席にひざ掛けや毛布、クッションなどを置いて、バッテリーの冷却用の空気吸込み口を、無意識のうちに塞いでしまうのは、かなりマズい行為なのである。ましてや、ノイズが気になるから、あるいはなんだかよく分からない隙間があるぞ、と言って塞いでしまうことなど、もってのほかである。
そのことを個人的に実感したのが、新型ヴェゼルに仕事で愛犬を乗せるため、ホンダ純正アクセサリー、ホンダドッグシリーズの後席用サークル、ペットシートサークルを装着したときのこと。
ホンダドッグシリーズを含むホンダの純正アクセサリーを企画、開発しているホンダアクセスの担当者から、「新型ヴェゼルのe:HEVモデルの場合、ペットシートサークルは後席左側にのみ装着してください」、と説明されたのである。
これまで、撮影などでペットシートサークルをホンダのガソリン車の後席に取り付ける場合、あるいは愛車の後席にドッグベッドやドッグカートから取り外したコットを取り付ける時、後席右側に装着するのが常だった。
なぜ右側(歩道側から見て奥側)なのかの理由は、愛犬の安全のためである。リヤドアから愛犬を乗せる際は、歩道側の左リヤドアからリードを付けた状態で先に乗せ、ペットシートサークルやドッグベッド(ドライブベッド)に乗せたあと、リードを外し、ホンダドッグシリーズの別売りのペット車外飛び出し防止リードなどを併用して、愛犬を安全に乗せるのが鉄則。下ろす際は、リードを付けた状態で、先に飼い主が下り、リードを持って安全に愛犬を下ろす……という手順を踏んでいたからである(後席に飼い主が1人乗るケース)。もし、ペットシートサークルやドッグベッド(ドライブベッド)を後席左側に装着すると、歩道側から愛犬を乗せ下ろしするのは楽なのだが、飼い主がそのすぐ横に乗車するとすれば、わざわざ車体をグルリと回り、右リヤドアから乗り降りしなければならなくなるのだ。
よって、HVバッテリーの冷却用空気吸込み口が後席のどこかにあるクルマならば、HVバッテリーの冷却を適切に行い、トラブルを防ぎ、バッテリーの寿命を延ばすためにも、HVバッテリーの冷却用空気吸込み口を塞いでしまう可能性があるアイテムは、それを避けた場所の装着が絶対になるというわけだ(HVバッテリーの温度が上昇するとエラーメッセージが出ることも。トヨタのHVモデルの例では「駆動用電池の冷却部品のメンテナンスを販売店で受けて下さい」)。
一方、同じヴェゼルでも、ガソリン車になると、当然、HVバッテリーの冷却用空気吸込み口がないため、ペットシートサークルは後席左右のどちらにも装着できるから、その点では便利と言える。ペットを飼っていない人でも、後席にひざ掛け、毛布、クッションなどを置いておくことのあるHVカーのオーナーは、今一度、自身のクルマのHVバッテリーの冷却用空気吸込み口の位置、そこを何かで塞いでいないかどうか、確認していただきたい。
長年乗っていると、そこにホコリなどが詰まっていることがほとんどで、それもHVバッテリーの冷却の妨げになるため、定期的な清掃(ブラッシング&掃除機/取説に方法が記載されている)は欠かせない。そしてフィルター交換も忘れずに!! フィルターが目詰まりした場合、上記のような警告が出ることもある。その時は即、交換である。