この記事をまとめると
aprはスーパーGT、GT300クラスにトヨタ・プリウスPHV GRスポーツをベースにしたマシンで参戦している
世界で唯一のハイブリッドGTカーとして注目度が高い
なぜプリウスでの参戦にこだわるのかをチーム監督に聞いた
aprは二世代のプリウスを投入している
日本で最大級の人気を誇るスーパーGTは、ご存じのとおり、GT500とGT300の2クラスが設定されている。クラス1規定を採用するGT500クラスは“世界最速のGTカー”と呼ばれており、FIA-GT3規定に加えて日本独自のGT300規定(注:昨年までのJAF-GT規定)を採用するGT300クラスは多彩な車種ラインアップを誇ることから“世界一の激戦区”として定着。両クラスともに魅力のあるカテゴリーとなっているが、なかでも世界的に見ても注目を集めているのが、GT300クラスのGT300規定モデルと言えるだろう。
同クラスには埼玉トヨペットGreen Brave やLM corsa、Max Racingが投入する「トヨタGRスープラGT300」(https://www.webcartop.jp/2021/04/693966/0/)を筆頭にR&Dスポーツが投入する「スバルBRZ GT300」など日本独自のマシンが活躍。さらにマザーシャーシを採用したGT300 MC(注:昨年までのJAF-GT MC)に目を向けると、muta Racing INGINGの「ロータス・エボーラMC」やTEAM MACHの「トヨタ86 MC」などユニークなマシンが集結しているが、今回クローズアップする「トヨタGRスポーツ・プリウスPHV GT」もそんなGT300モデルを代表する名物車両だ。
同マシンは文字どおり、トヨタ・プリウスPHV GRスポーツをベースにしたマシンで、これまでMR-Sやカローラなどさまざまなマシンを投入してきた名門チーム、aprが2台のGTカーを投入している。30号車はハイブリッド非搭載モデルとなっているものの、31号車はハイブリッド搭載モデルで、世界で唯一のハイブリッドGTカーとして注目度が高い。
とはいえ、同マシンもaprが仕上げた純レーシングカーで、量産モデルとの共通部分はAピラーとルーフのみ……といった状態。気になるエンジンについてもTRDが開発した5400cc V型8気筒自然吸気のレース専用ユニットで、ほとんど量産モデルとの共通点はないのだが、なぜaprはプリウスで参戦しているのだろうか? 同チームは2012年にZVW30型、2016年からはZVW50型と二世代のプリウスを投入しているのだが、なぜプリウスにこだわり続けているのか?
その理由についてaprの金曽裕人監督は「ハイブリッド技術はトヨタの誇れる技術なのにGTカーとしては走っていなかった。トヨタとしてもハイブリッドの先行開発をする必要があるなか、やるならハイブリッドの代名詞でもあるプリウスがいいだろうということでプリウスに決まりましたが、単純にプリウスはドラッグが少ないのでレーシングカーとしてもいい素材でした」と語る。
31号車をハイブリッド搭載、30号車をハイブリッド非搭載にした理由については「ハイブリッドがレースで使えるのか? ハイブリッドの有無で、どうマシンの動きが代わってくるのか、その違いを比較したかった」と金曽監督。ハイブリッド搭載車である31号車のメリット・デメリットについては「ハイブリッドはモーターの出力を“電気ターボ”的に立ち上がりのトルクアップにも使えるし、燃費向上にもふることもできる。燃費性能の方向にふるとサーキットを全開で走るGTカーでもハイブリッドの31号車は10%ぐらい燃費性能がいい。デメリットはハイブリッドシステムが複雑なので自動車メーカーのサポートが必要なこと。ハイブリッドをやりたくても、すべてのチームができるわけではないところですね」と語る。