シグネットのボディパネルはほとんどがオリジナル! まず、iQ GAZOO Racing tuned by MNから説明すると、2007年のGAZOO Racingプロジェクト発足時から、トヨタマスターテストドライバーの成瀬弘らとともに追い求めている「クルマの味づくり」を具現化したチューニングカーの記念すべき第1弾!! であった。
iQ GAZOO Racing tuned by MNの走行シーン 画像はこちら
欧州仕様のiQ 130G 2WDの6速MTモデルをベースに、リヤディスクブレーキ(欧州仕様では標準装備/国内向けはドラムブレーキ)、専用チューニングサスペンション(約30mmローダウン)、16インチアルミホイール&タイヤ、強化ブレース、タコメーター、アルミペダル、リヤルーフエクステンション、GRMNエンブレムなどを専用装備。GAZOO Racingスタイルパッケージとして、フロントバンパースポイラー、フロントフォグランプ、サイドマッドガード、リヤバンパースポイラー&センターマフラー、オリジナルデカール、スポーツシートカバー(運転席、助手席)が別途、オプションで用意。価格はモデリスタカスタマイズ込み車両本体価格が197.2万円。GAZOO Racingスタイルパッケージが29万8000円だった。
iQ GAZOO Racing tuned by MNのリヤスタイリング 画像はこちら
一方、アストンマーチン・シグネット は、アストンマーチンによる小型高級車として発売。日本から完成車の状態でアストンマーチンの工場に送られたあと、内外装を分解し、職人が1台につき150時間をかけて、アストンマーチンとしてカスタマイズする手法が取られたという。すごいのは、リヤフェンダーを除いたすべてのボディパネルがシグネット専用ということ。
アストンマーチン・シグネットの走り 画像はこちら
もちろん、インテリアもアストンマーチン流にカスタマイズされ、スポーティさと英国の超高級車ブランドならではの高級感を付加。まったく別次元の世界を創造しているのである。
ちなみにサスペンション、エンジン、6速MT/CVTについてはiQそのものだ。異なるのは静粛性や走りのテイストとなる。それにしても、当時のシグネットを思い出せば、渋いボディカラー、iQとは別物の高級感ある内外装のカッコ良さは、今でも120%通用するものだと思えるほど。英国での価格は当時のレートで日本円に換算すると約620万円と超高価。日本では6速MTモデルで475万円、CVTモデルが490万円と、ベースモデルの約3倍に達していた。しかし、現在、日本で買うとすれば、2012-2013年式の中古車(走行距離少なめ)が700~800万円のプレミアム価格となっているから、二度驚かされる。
アストンマーチン・シグネットのリヤスタイリング 画像はこちら
iQは2016年春に販売を終了しているが、今、これにトヨタの電動システムを載せることができれば、電動車時代の2+1+αのシティコミューターとして、爆発的ヒットも期待できそうな気がする……。それぐらい、時を超えたデザイン性の持ち主でもあったのだ。
ちなみにミニマムなサイズのマイクロプレミアムカーにして、パッケージにそこまでこだわりまくったかと言えば、開発責任者の中嶋裕樹チーフエンジニア(現Mid-size Vehicle Company President、CV Company President)の身長が185cmと高く、自身でも無理なく乗れるマイクロプレミアムカーを開発したからである。結果、高身長のドライバー、乗員の多い欧州での展開も可能になったというわけだ。