欧州への依存度が低い日本メーカーへの影響は限定的
ではこれが日本の自動車メーカーに大きな影響を及ぼすかと言うと、そうとは思わない。日本の自動車メーカーで欧州比率が高いのはマツダぐらいで、他は米国や中国などが国外のメインマーケットだからだ。
でも米中もEVシフトなんでしょ? と言う人、あなたはマスコミの煽り記事に騙されている。
米国では今月、バイデン大統領が電動化戦略を発表した。2030年に販売される新車の半数をBEV、PHEV、FCEVなどのゼロエミッション車にするというものだ。つまり、残り半分はHEVはおろか、エンジン車でもいいことになる。
今回の発表は、これまでの大統領の政策同様、かなり中国を意識したもので、発言の中に何度も中国という言葉が出てくる。
では中国の電動化戦略はどうかというと、2035年にBEV、PHEV、FCEVが該当する新エネルギー車を新車販売の50%とし、残りはHEVなどの低燃費車とするという内容。エンジン車は入っていないがHEVはOKだ。
しかもコロナ禍前、つまり2019年の世界の自動車販売台数を地域別に見ると、トップの中国が3割弱、アメリカが約2割で、ヨーロッパは全体でもアメリカと同じぐらい。今の欧州は良くも悪くも、声の大きい少数派という感じがする。
おまけにこれは前に書いたように、日本の多くの自動車メーカーはこれ以上に欧州への依存度は低い。たとえばトヨタのヨーロッパ比率は約1割だ。たとえゼロエミッションになっても、壊滅的な影響は受けないと多くの人が思うはず。
ちなみに僕自身も、ヨーロッパは好きだけれど住むつもりはないので、まったく心配はしていない。