この記事をまとめると
■筆者はかつてアメリカ在住で海外事情に精通したジャーナリスト
■日本のカーナビと欧米のカーナビの大きく異なる事情を伝えている
■最近はスマートフォンの普及により差が小さくなっている
もともと図ではなく文字で道を伝え知る慣習
最近はスマホの発達でかなり状況は変わってきたが……。20年ほど前まで、欧米の地図は文字表示が主流だった。
日本の場合、「ここから〇〇への行き方を教えて欲しい」と、紙とペンを渡せば多くの場合は、道路、建物、線路、店などを図柄で書いてくれるものだ。それを欧米では、〇〇ストリートで2つ目の信号を左折、その先の〇〇アベニューの3つ目の細い路地を斜め右、といった感じで、文字で書く人が多かった。
そうした傾向はメルセデス・ベンツなど欧州高級車が90年代後半から2000年代初めに量産車で標準装備したカーナビでも見受けられた。
その頃、ドイツ国内で各種レンタカーを借りてドイツ、スイス、オランダなどを走り回っていたのだが、アウトバーンの出口表示は矢印で出るものの、その横に出てくる文字表示を読むのが面倒だった思いがある。
または、カーナビが標準装備されていないクルマでは、オランダのTOMTOM(トムトム)製やアメリカのGarmin(ガーミン)製のPND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)をダッシュボードの上やAピラーに取り付けている人が欧米で数多くいた。とくに、タクシーは2010年代になってスマートフォンが普及するまでPNDが主流だった。
また、アメリカのレンタカーでは2000年代、大手のHertz(ハーツ)では「オプションでGPSはつけるか?」と聞かれたものだ。具体的には、Garmin製のPNDをセンターコンソールに専用ホルダーを取り付けたものである。
日本の自動車ユーザーではご存じの方も多いと思うが、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)とは衛星測位の手法を示すものであり、カーナビがGPS等の衛星からの電波を受信することで自車位置を測定する。そうしたGPSがカーナビ本体の名称として使われていたことになる。