大衆車としてのシンパシーを感じている
会場にいたセールスマンによると、「モナコブルーはゴルフのなかでも人気が高く、価格も高めになっている」とのことであった。確かに、ほかのボディカラーのゴルフより値付けは高めに見えた。“バン”というイメージの音がしておよそ高級感はないが、しっかりしたドアの開閉音や、クルクルとハンドルをまわして開け閉めするサンルーフなど、当時は輸入車自体への馴染みが薄かった筆者にとっては、当時の日本車と比べて何もかもが新鮮に映った。その後学生時代にアルバイト代をせっせと貯めたのだが、結局その貯めたお金は、卒業旅行としてアメリカへ1カ月半ほど一人旅する資金に消えてしまった。
その後筆者は、某日系メーカー系ディーラーのセールスマンとして社会人デビューするのだが、会社に入って間もない休みの日に輸入中古車フェアを訪れると、今度はゴルフ2(2代目)に一目ぼれしてしまった。紺色のCiがとても気に入り、契約寸前まで話が進んだのだが、仕事用として取り扱い車から自家用車を購入しなければならなかったので諦めた。
ちなみに、新車ディーラーのセールスマンのなかには、仕事用として自分の扱っているクルマを所有するだけでなく、プライベート用にほかの日系モデルや輸入車も所有しているのはそれほど珍しくないことである。取材で南カリフォルニアのある日系ブランドのディーラーを訪れた時に、そこのゼネラルマネーシャー(店長)が、「このBMW7シリーズは私のクルマで最近購入した」と自慢げに紹介された。後でそこのスタッフ(セールスマン)に「みなさんは、やはり扱っているクルマに乗っているのですか?」と聞いたら、「なぜだ?」との返答の後、「仕事とプライベートは分け、自分の好きなクルマに乗るのは当たり前のことだ」との説明を受けた。
カローラが好きで乗り続けている筆者は、ゴルフに同じ大衆車としてのシンパシーのようなものを感じているのかもしれない。