使用することはなくてもとりあえずスペアタイヤは背負う
そのほか背面タイヤが似合っていたクルマといえば、もちろんクロカン界の大スターだった三菱パジェロだろうか。
これまたFJクルーザー同様、スペアタイヤを裸の状態で付けていても絵になるし、純正のカバーも当然カッコいい。ラリーアートのカバーならさらに最高だろう。なんならスヌーピーとかの絵が描かれている背面タイヤカバーだって、パジェロファミリーの場合は絵になっていた。
つまり、実際にスペアタイヤを使う機会があるかどうかはさておき、「パジェロだったら使う機会もあるかもしれないな……」と思わせる三菱パジェロの”本格性”こそが、背面のアレをよりカッコよく感じさせる――ということなのだろう。
現行モデルの話にはなるが、メルセデス・ベンツGクラスの背面タイヤも同様である。
もちろんピカピカで高価な現行Gクラスで山中をガンガン走りまわり、「やべえっ! パンクしちまった!」ということでおもむろにキラキラの背面タイヤケースからスペアタイヤを取り出し、山中でジャッキアップしながらGクラスのタイヤ交換を行う人などほとんどいないだろう。
だが、「もともとは軍用車だから、山中でパンクするような走りもするかもしれないよね、できるよね」という”幻想”が、Gクラスの背面タイヤの違和感をなくすだけでなく、美しさすら与えているのだ。同じメルセデス・ベンツのSUVでも、そういった幻想は特にないGLSに背面タイヤがもしも付いていたら、ただただ間抜けに見えるだけだろう。