関西は「金エンブレム」必須! なんちゃって「ヤナセ」も登場! 昭和に流行ったエンブレム&ステッカーチューンの世界

上位グレードや上位車種のものを流用するのがお約束

 エンブレムというのは、もちろんそのクルマのグレードを表すもの。高級車であれば格をアピールすることもある。たとえばGT-Rであれば、その下にはGTがあって、差別まではされないにしても、優越感があったりするのは事実だ。

 そのようなヒエラルキーを背景に、GTをベースにして、GT-R仕様を作ったりしたものだが、当然費用がかかるわけで、この場合は安直にできるエンブレムチューンが流行った時代もある。

 ひと口にエンブレムチューンと言ってもいくつかのパターンがあって、まずは単純に上級グレードのものにするというもの。とくに輸入車は数字ではっきりとわかるので、付け替えるだけの威力があった。ちなみに香港では、S60000のように、ありえないケタのエンブレムにするのが流行ったという。もちろん偽物だ。

 そしてオプションでも設定されていた(今でも一部車種にはあるが)のが金バッヂだ。アジア人のサガなのだろうか、中国でも人気のようで、日本でも一時はやんちゃな方はもちろん、フツーの人も付けているのをよく見かけた。以前、ダイハツのデザイナーに聞いたところ、「関西ではマストなんです」と言われたことがある。

 このように基本的には付け替えて、アップグレードするのが基本なのだが、その昔は外すのも流行った。アンチモニーなどのしっかりとしたエンブレムの場合、外すと固定の穴が残ってしまうため、スムージング的なものだと思うかもしれないが、それをやるにはけっこう費用も手間もかかる。そこで流行ったのがリベットで埋めるということ。イボイボというがゴツゴツした感じになって、精悍な感じではあったが、そもそもなぜ外して、埋めていたのかは今もって謎ではある

 最後にエンブレムではないが、今ほど輸入車が身近ではなかった時代、たとえばヤナセ物は非常に珍重されていた。そのため、並行輸入車でヤナセのあの黄色いステッカーを入っているクルマはけっこうあって、なんちゃって正規モノがけっこうあった。

 ステッカーだけでは売ってくれないので、偽物も出回っていたこともある。ちなみに本物は裏にシリアルが付けてあったので、よく見ればすぐにわかってしまったのは悲しい思い出だ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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