ゴルフを褒める声が大きいからよく聞こえてくるだけ?
次に、「歴代ゴルフななぜ褒められるのか?」という命題について考えてみよう。
確かに歴代のフォルクスワーゲン ゴルフは各方面からホメられ続けている。具体的には自動車ジャーナリストおよび自動車ライターと、各媒体に熱心にコメントを寄せるタイプの「クルマ好き」が、歴代のゴルフを絶賛している(※クルマ好き各位のゴルフ8に対する評価は微妙かもしれないが)。
しかし、である。それらの人たちがゴルフのことをいつもホメるのは確かだが、自動車ジャーナリストおよび自動車ライターの数など、日本の全人口からすれば塵のひと粒にもならない程度である。
具体的には……、よくわからないのだが「日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)」の会員数が約100人で、それに加えて筆者のようなモグリの非正規自動車ライターが300人ぐらいいるとして、合計400人ぐらいだろうか。……日本の人口約1億2000万人の、0.0003%でしかない。
そして、自動車についてのコメントを「Yahoo!」などに熱心に寄せてらっしゃる「クルマ好き」の数も……、これまた正確にはよくわからないのだが、まぁ「そんなに多くはない」ということだけは確かだろう。
すなわち、自動車メディア内や自動車好きの界隈内で流布している「ゴルフ褒め」というのは、あくまでも少数の人間によるホメに過ぎないのだ。それを「ノイジーマイノリティの意見」と言ってしまってはおそらく言い過ぎだが、「ゴルフ褒め=全体の意見」と見るのも、やはり間違いなのである。
フォルクスワーゲン ゴルフというクルマの「正確なホメられ具合」は、全国民に逐一ヒアリングしないことには算出できないが、「大まかな傾向」は、ある場所を見に行けば、ほぼ明確に知ることができる。
それは、WEB CARTOPみたいなところにジャーナリストやライターが書いている記事?
もちろんそうではない。
じゃあ、転載先のYahoo!で付けられるコメント?
それも、違う。まったく違うわけでもないが、偏っている。
もっとも妥当で明確なデータ元は「販売台数」である。
人は、そのクルマを「いいな」と思うことで購入に至る。もちろん例外はいろいろあるだろうが、基本的にはそうである。であるならば販売台数こそが、「全国民への逐一のヒアリング」ではないが、それにある程度近い、ある程度客観的で、ある程度かなり広範囲な「アンケート調査」なのだ。
そう考えると――答えはもはや明白である。
「歴代ゴルフはなぜ褒められるのか? 毎回コンパクトカーの世界を圧倒できる理由は何か?」という問に対する回答は、以下のとおりとならざるを得ない。
「歴代ゴルフは確かに褒められているが、褒める人間の声が大きいから、よく聞こえてくるだけである」
「確かに過去においてはコンパクトカーの世界を圧倒していて、今も非常に人気の高いクルマではあることは確かだが、嗜好の細分化により”圧倒”というほどではなくなってきている」
WEB CARTOP編集部からの誤発注に対する、私からの回答は以上のとおりである。
「ではなぜ、自動車ジャーナリストやクルマ好きはゴルフをホメがちなのか?」という根本的な問題はまだ解決されていないが、それについては、次回もしも発注があれば述べたいと思う。
まぁこんな原稿を書いた以上、もはや発注されることもないと思うが。