完成検査にAIを用いることなどが検討されている
生産直後に、有資格者によって完成検査をすることで完成車メーカーは完成検査終了証を出すことができ、それによって新規検査を省くことができるので、いちいち陸運局に持ち込まずともナンバーを封印することができるという信頼によって構築されたモデルを、メーカー自身が壊してしまったのが、完成検査不正事件だった。
とはいえ、いまの生産技術において一台一台、車検のような検査を行なうというのは現実的ではない部分もある。現在、その対応としてより現実に即した、さらにAIなどを駆使した完成検査に手法に進化させるべく、各所で検討が進んでいるところだ。
ちなみに、完成検査終了証には9カ月という期限があり、それを超えると陸運局に持ち込んで新規検査を受ける必要が出てくる。趣味人であれば希少なクルマにはナンバーを付けずにガレージに保管しておくというのは憧れかもしれないが、そうしたクルマにいざナンバーを付けようとすると、たとえ工場出荷状態のままだとしても、あらためて車検を受ける必要があるのだ。
そうした手間をすべて省くのが完成検査終了証というわけだ。
そして余談めくが、登録車のリヤナンバーに封印をする作業は、陸運局でなくても委託を受けた業者であれば可能だったりもする。それを封印取付け受託者と呼ぶが、その受託者は3パターンにわけられる。
ひとつが、完成検査終了証のある自動車を販売する者、すなわち新車を扱う自動車ディーラーだ。そして、中古車販売業においても特定の団体の会員であるなど諸条件を満たすことで封印取付け受託者となれる。
意外に知られていないのが、行政書士も封印取付け受託者となれること。引っ越しや名義変更などによってクルマのナンバーを変える際に、行政書士に依頼すると平日に必要な手続きをした上で新規にナンバーを取得してくれ、それをユーザーの都合のいい休日などに自宅や駐車場で取り付けて封印作業まですることができるのだ。行政書士によるこうした一連の作業を出張封印と呼んだりする。販売店に持ち込んだりするのが手間だという忙しい人であれば、行政書士を利用したナンバーの交換を検討してみてはいかがだろうか。